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Jeordie White(a.k.a.Twiggy / Twiggy Ramirez)を知るためのブログ。時空をさかのぼって不定期更新中。May the force be with you! 【最終更新日:2021年11月27日】

ピーター・マーフィーと共演!【セッション】Live in Boston:演奏編(2006年6月23日)

 2006年6月におこなわれた、ラジオ番組のためのスペシャル・セッション。それでは、さっそく映像を見てみましょう。(→前回の記事はこちら)。

 ナイン・インチ・ネイルズ(以下NIN)の公式Vimeoに掲載された情報によると、映像を撮影したのはロブ・シェリダン。高校在学中にトレントに見いだされ、NINのアートワークや映像を手がけるようになった人物です。2007年に発売されたライブ映像作品『Beside You In Time』でも、素晴らしい仕事ぶりが光っていました。

 予算も手間もしっかりかけた一連の作品と違い、今回はおそらく手持ちカメラで撮影しているようですが、それが部屋の雰囲気とあいまって、ホームビデオのような独特の味わいを生み出しています。急遽トレントに撮影を頼まれたのか、それとも彼がたまたまカメラを持っていたのかは定かではありませんが、とにかく、今回の映像を残した功績は大きいですね。ありがとう、ロブ!

 というわけで、全4曲の演奏、いよいよスタートです。

1. Reptile - Nine Inch Nails

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 まず一曲目は、NINの『Reptile』。1994年発表のアルバム『The Downward Spiral』に収録されている楽曲です。オリジナル・バージョンでは「ウィーン!」「ガシャーン!」と、爬虫類(Reptile)というよりヤバめのロボットが登場しそうな音が効果的に使われていますが、今回、出だしを聴いただけでは何の曲なのか戸惑いそうなほど、シンプルなアレンジに変わっています。それにしても、この観客の少なさ! いったい前世でどんな徳を積んだら、ここにいる幸運な観客の一人になれるのでしょうか!?

 歌詞をチラ見しつつもどんどん調子をつかんでいくピーターの魅力的…いや魔力的な声に、繰り返されるトレントの美しいベースライン、そして控えめながら破壊力がすさまじいジョーディのギターサウンド。すべてが重なり合って、まだ一曲目だというのに、圧倒的なエネルギーを放っています。シンプルなアレンジで余計な音がそぎ落とされた分、もともとの楽曲の美しさが際立っていますね。さて、注目は4分20秒のあたりです。すこし、曲調が変わったような気がしませんか?

 実は今回、彼らは面白い試みをしていて、ここからなんと別の曲の一部を演奏しているのです。それは、ラヴ・アンド・ロケッツの『Haunted When The Minutes Drag』。1985年発表のデビューアルバム『Seventh Dream Of Teenage Heaven』に収録されている楽曲です。

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ジャケットおしゃれですね

 ラヴ・アンド・ロケッツは、バウハウス解散後、ピーター以外のメンバーたちによって結成されたバンドです。なぜここでバウハウスではなく、彼が参加していないラヴ・アンド・ロケッツを?という疑問が浮かびますが、もしかしたらピーターの提案だったのかもしれませんね。それにしても、(筆者の耳には)まったく違う曲が、まるで『Reptile』がもともとこういう曲だったかのように、なんの違和感もなくなじんでいます。むしろ、これを聴いた後でオリジナル・バージョンを聞くと、「なんか、あるべき部分が欠けているような…」とすら感じるぐらいのなじみっぷりです。みなさんも、よかったらぜひ聴き比べてみてください。

 余談になりますが、マリリン・マンソンがジョーディとの初めての出会いについて、「あるレコードを買いに行ったら、店員がラヴ・アンド・ロケッツのレコードを押しつけようとしてきた」、それがジョーディだったと自伝に綴っています。突然すすめられたレコードをはたしてマンソンが購入したかどうかは不明ですが、ジョーディ(おそらく20才頃?)、バウハウスだけでなくラヴ・アンド・ロケッツのファンでもあったのですね。その時の光景が目に浮かぶようです。「そっちもいいけど、ラヴ・アンド・ロケッツにしなよ! おすすめだよ!」みたいな感じだったんでしょうか。

 さて今回の映像には、ジョーディ・ファン的には見逃せないちょっとしたアクシデントが。4分48秒あたりで、ピーターがジョーディ、というかトゥイギーに向かって「トゥイグ!」(トゥイギーの愛称)と呼びかけるのですが、呼びかけられたジョーディ、

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はぁ?

 まるで眠っているところを起こされたかのように、不思議そうな顔でピーターを見つめています。というか、声をかけられたとはっきり認識するまで、少々時間がかかっています(笑)。ヒントを探ろうとしたのか一瞬トレントの方を見ますが…

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チラッ

 やっぱり分かりません。「?」という表情のままピーターの方を見つめた後、あることに気づいて、ぱっとマイクスタンドに手を伸ばしました。おそらくピーター、もうすぐコーラスに入るジョーディに、マイクが口元から離れていることを教えてくれていたのですね。演奏に集中していたのか、それとも意識が別の世界に飛んでいたのかは分かりませんが、「え? なに?」という心の内がそのまんま顔に出ているジョーディでした。とはいえ一連の流れの中、演奏の手がほとんど止まらないのはさすがですね。

 いやーそれにしても、出だしから素晴らしい演奏でした。終盤でジョーディが使っている青く光る小さな黒い物体は、EBow(イーボウ)という機械のようですね。演奏後、観客に向かって誇らしげに両手を広げるジョーディ。

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どうだい?

 大きな拍手が起きる中、ピーターが「トゥイギー、もちろんトレント、アッティカス」とメンバーを紹介しました。トレントが「もちろん、ピーター・マーフィー」と返したため、「あはあはあは」と笑うピーター。笑い方が、お茶目ですね。

2. Warm Leatherette - The Normal

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 続いては、二曲目。トレントが今回の企画について説明したあと、「昔からのお気に入りなんだ」といって演奏を始めたのは、ザ・ノーマルの『Warm Leatherette』。1978年に発表された楽曲です。この曲、実はある小説をもとに作られているのですが、それは、J・G・バラードの『クラッシュ』。自動車の衝突事故に性的快感を覚える男女の姿を描いたバラードの代表作のひとつで、筆者も大好きな作品です。1996年に、デヴィッド・クローネンバーグ監督により映画化もされています。

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レコードのジャケットも小説そのまんまです

 一見バンドの名前かと勘違いしてしまいそうなザ・ノーマルは、ダニエル・ミラーによるソロ・プロジェクト。ザ・ノーマル名義でリリースされたのは『Warm Leatherette』のシングル一枚だけですが、活動時期がバウハウスと重なっていることや同じイギリス出身であることを考えると、もしかしたらピーターとも交流があったのかもしれませんね。

 さてそんな『Warm Leatherette』、オリジナル・バージョンはかなり無機質な響きなので、普通なら「あまり生演奏向きじゃないのでは」と考えてしまいそうですが、そんな心配は無用でした。もはや、誰がどの音を出しているのか分からないほど息のあった四人の演奏により、おどろくほど有機的なサウンドに変化しています。

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息のあった人たち

 打ち込みを多用して作られた曲をライブ演奏用にアレンジする…という作業は、NINが昔から自身の曲でやっていることなので、彼らにとってはそれほど難しいことではないのかもしれませんが、それにしても、すごい音の広がりです。「Warm(あたたかい)」と「Leatherette(合皮)」という二つの単語が絡みあいながら発展していく、不思議な光景を見ているようです。専門的な知識がないので自信がないのですが、この曲、おそらく最初から最後までひとつのコードだけで成り立っているのではないでしょうか。

 車のスピードがどんどん上がっていくような疾走感と、感情があるのかないのか分からない謎の中毒性に酔いしれていたら、脳が溶けそうになってきました。もうこうなったら目を閉じて、音に浸りたいですね。…いや、彼らの演奏姿を目に焼き付けたいので、やっぱり目は閉じませんけどね!

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ジョーディも酔いしれている様子

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もはや、ボーカルをどう分けているのか分からない二人

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あらゆる種類の「レザレ~ット」を繰り出すトレント

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ピーターが操る、なんらかの未来的な機械

 単なる曲のカバーという域を超えて、別の次元に着地させたところで演奏は終了しました。ふたたび大きな拍手が起こる中、ジョーディが、さっとギターを持ちかえているのが見えますね。

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ササッ

3. A Strange Kind Of Love - Peter Murphy

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 続いて三曲目は、ピーター・マーフィーの『A Strange Kind Of Love』。1989年発表のソロ・アルバム『Deep』に収録されている楽曲です。

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モノクロのジャケットです

 トレントが「これはピーターの曲なんだけど、すごく素晴らしいんで、今回かなり過激なアレンジにしてみたよ」と紹介しているので、いったい四人でどんな演奏をするのかと思いきや、過激もなにも、原曲そのまんまです。しかも、トレントとアッティカスは演奏には加わらず、ジョーディのギターをバックにピーターが一人で歌うスタイル。というかトレント、真顔でこんなジョークを飛ばす人だったんですね(笑)。ストイックな印象が強かったので、やや意外です。

 さて、ちゃっかり休憩タイムに入ったトレント&アッティカスとは対照的に、ピーター本人と一緒に彼の曲を演奏するという大役をまかされたジョーディ。さきほど持ち替えたアコースティック・ギターで、美しくも物悲しい音色を奏でています。

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物悲しい音色を奏でるジョーディ

 短い前奏のあと、ピーターが歌い出しますが、ちょっとびっくりするような声です。前の二曲に比べて歌う音が低いせいか、それとも自分の曲なので長年歌いこんでいるからなのか、歌詞にもあるように、声がまさに「宝石」のような輝きをはなっています。後ろでトレントが、リズムをとりながら聞き惚れている様子が映っていますが、いやー、これはトレントじゃなくても聞き惚れますよね!? ピーター本人は、時々ジョーディの様子を気づかいながら、リラックスして歌っているように見えます。大人の余裕!

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アイコンタクトをとるピーターとジョーディ

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響きわたるピーターの美声

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後ろで聴きいっているトレント

 最初に述べた通り、アレンジはほとんど原曲のままなのですが、ひとつ面白いのが間奏部分。ちょうど3分のあたりです。ここ、オリジナルでは「タラララ~♪」というメロディがキーボード音で流れるのですが、今回はピーター、楽器で演奏するのではなく自分の声で歌っています。で、こういう場合、普通「ラララ~」とか「トゥルル~」といった音に置き換えそうな気がするのですが、ピーターがチョイスしたのは、まさかの「マ」! 「ママママ~」って、ハミングであまり聞かないですよね!? 振り返れば、一曲目の『Reptile』でも間奏部分に「マ~~」とシャウトしているので、兆候があるといえばあったのですが…。なぜ「マ」なのかはまったく分かりませんが、ピーターは「マ」の音が好きなのでしょうか? それとも、この「マ」はただの「マ」ではなく「魔」なのでしょうか? ジョーディも、心なしか不思議そうな顔をしています。

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なんで「マ」なのかな?

 疑問は尽きませんが、ここはこれ以上なにも考えず、ピーターが歌う世界一心地良い「マ」と、ジョーディの美しいアコースティック・ギターの音色に身をまかせることにしましょう。演奏後、「ギターはトゥイギー。ありがとう!」とお礼を述べるピーター。心の深いところに沁み入る、素晴らしい演奏でした。

4. Nightclubbing - Iggy Pop

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 あっという間に、最後の曲になってしまいました。ラストを飾るのは、イギー・ポップの『Nightclubbing』。1977年に発表されたイギーのソロ第一作『The Idiot』に収録された、イギーとデヴィッド・ボウイによる楽曲です。

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おなじみイギーの謎ポーズ

 あまりにも多くのミュージシャンに影響を与えたこの作品。筆者はけっこうなイギー・ファンでもあるので、「ここで、この曲を!」という感激で、もはや、冷静に文章を書くことができません。仕方がないので、どうしてもこれだけはみなさんにお伝えしたいという5つの点を、箇条書きにします。

1. トレントは、この曲をもとにNINの代表曲のひとつ、『Closer』を作った

2. ジョーディは、この曲をもとにマリリン・マンソンの代表曲のひとつ、『The Dope Show』を作った

3. トレントは、デヴィッド・ボウイのおかげで薬物中毒を抜け出すことができた

4. 2020年にNINがロックの殿堂入りを果たした際、プレゼンター役をイギーが務めた

5. その際の受賞スピーチ(→こちら)で、トレントはジョーディに謝辞を送った

 ああ、書いているだけで、胸にこみあげるものが…。ちなみに2019年9月にジョーディが「The Above Ground Benefit Show」というイベントで約二年ぶりにステージに立った際、デイヴ・ナヴァロらと一緒にイギーのバンドであるザ・ストゥージズの『Search And Destroy』をカバーしていました(2021年現在、ジョーディが公の場で演奏したのはおそらくこれが最後です)。

 これ以上、もう何も言うことはありません。あとは、いっしょに思う存分、彼らの『Nightclubbing』の世界に浸りましょう…! あ、もう何も言うことはないといっておきながら、ひとつだけ言いたいことがありました。それは、「ジョーディが歌うところと、(おそらく)演奏後にピーターと握手を交わしているであろう場面が、編集でカットされている」という点です’。ああ、せめてあと5秒だけ長く、ジョーディを映してくれていれば…(涙)。ロブ…惜しいよ、ロブ!

 というわけで以上、悔しくも楽しい、貴重なラジオ・セッションでした。

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ピアノがめちゃうまいトレント

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この曲にお世話になった作曲組

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あっ、ジョーディがマイクに手をのばした!と思ったら…

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非情にもこの直後に切り替わるカメラ

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ピーターのナイトクラビング・ダンス

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真剣な表情で演奏に集中するジョーディ

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気配を消しているスタッフ陣

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みなさん、お疲れさまでした

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イエーイ!

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確実にこのあとジョーディと握手する流れ


参照したサイト:NME.com

★★目次★★

 

ピーター・マーフィーと共演!【セッション】Live in Boston:前置き編(2006年6月23日)

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 ジョーディが、トレント・レズナー率いるナイン・インチ・ネイルズ(以下NIN)の一員として「With Teeth: Summer Amphitheater Tour」と題されたツアーで北米を回っていた真っ最中の2006年6月。ツアー会場のひとつ、ボストンのTweeter Centerで、ちょっと趣向の変わったセッションがおこなわれていました。

 趣向の変わった…というのもこのセッション、なんと、ライブ会場のバックステージにたった15名ほどの観客を入れて、ライブ当日におこなわれているのです。さすがにライブが終わった後ではないでしょうから、日中に開催されたのではないかと思われますが、窓のない室内ということもあり、時間帯が分かりません。この日と合わせて4回おこなわれたラジオ放送のための公開録音のひとつらしいのですが、番組の詳細や放送日時などは不明です。

 NINのYouTube公式チャンネルに全4曲の映像がすべて公開されているにもかかわらず、やたらと情報が少ないこのセッション(というかミニライブ?)。しかしながら、「よくぞこれを映像に残してくれた!」と、ジョーディ・ファンならずとも、NINファンや音楽ファンにはたまらない内容になっています。なぜなら、ジョーディとトレントが、彼らにとって大先輩にあたるバウハウスのボーカル、ピーター・マーフィーと共演しているのです。

 ここで、ピーター・マーフィーっていったい誰?と思ったあなた。

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見よ、このクールさ

 この写真でいちばん前に立っているのが、ピーター・マーフィーです。なんとなく、吸血鬼っぽいですよね…? 吸血鬼っぽい音楽をやっているのかな…と安易な想像をしてしまうかもしれませんが、その想像は当たっています。というのも、バウハウスは、現在「ゴシック・ロック」と呼ばれている音楽、すなわちNINやマリリン・マンソンらがのちに活躍するジャンルの開拓者的な存在なのです。バウハウスの結成は1978年ですが、そのダークで攻撃的、かつ削ぎ落されたシンプルなサウンドは2021年の今聴いても新鮮で、一言でいうと、しびれます。興味のある方は、ぜひ音源や映像をチェックしてみてください。とくにデビュー作の「In The Flat Field」は、前知識がなくても、一曲目から魂を半分どこかに持っていかれると思います。

 このままだとバウハウスについての記事になってしまいそうなので、セッションの話に戻ります。ライブセッションの出演者は、ピーター・マーフィー、トレント、ジョーディ、そして当時NINのプロデューサーであり、2021年現在NINの(トレント以外)唯一のメンバーであるアッティカス・ロスの4人。前述した通り、このセッションは「With Teeth」ツアーの合間におこなわれていますが、実はピーターも、再結成したバウハウスのメンバーとして一緒にこのツアーを回っています。つまり、一緒にツアーを回っている気心知れた4人による演奏というわけです。

 ただし、ジョーディがここに参加しているのは、やや異色といえるかもしれません。なぜなら、NINのベーシストであるジョーディが、このセッションにはギタリストとして参加しているのです。当時のNINのギタリストはアーロン・ノースですから、自然に考えると「トレントがベース、アーロンがギター」という選択肢もあったはずです。あるいは「トレントがギター、ジョーディがベース」パターンもありますよね。アーロンが暴れる危険性や、演奏する曲との相性を考えて、トレントがジョーディをギターに抜擢したのでしょうか。あるいは、トレントが単にベースを弾きたい気分だったのでしょうか。真相は謎です。

 さて、映像に入る前に、簡単にジョーディ&トレントとピーター・マーフィーの関係を見ておきましょう。まずは、ジョーディ。なんといっても下の写真を見てもらうのが、いちばんてっとり早いでしょう。

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顔がまだ子供

 お気づきでしょうか。バウハウスTシャツを着ています(笑)。1989年頃(18才頃)のジョーディです。時期的に、ジョーディがマリリン・マンソンの前に在籍していたAmboog-A-Lardのライブ中の写真ではないかと思います。もう1枚、こんな写真も見つけました。

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だいぶはしゃいでます

 ちょっと見づらいですが、肩車されているのがジョーディ。たぶん上の写真と同時期に撮られたもので、一緒に映っているのはAmboog-A-Lardのメンバーです。よく見ると、ここでもバウハウスのタンクトップを着ているんです。この2枚の写真だけで、どれだけジョーディがバウハウス好きだったかが伝わりますね! この頃すでにバウハウスは解散して数年経っているはずなので、もしかしたら後追いでファンになったのかもしれません。というわけで、少年時代に「バウハウスの一ファンだった」ジョーディです。

 一方、同時期のトレントは、Tシャツを着て無邪気にはしゃいでいるジョーディに比べると、一歩先を行っています。というのも、ピーター・マーフィーの1990年のツアー「Deep Tour」のオープニングアクトとして、NINのデビューアルバム「Pretty Hate Machine」のツアーをおこなっているのです(ややこしいですが、ピーターの前座としてNINのツアーをしたということ)。二人が一緒に映っている写真が見つけられなかったので、雰囲気だけでもつかむために1990年頃のトレントの姿を見てみましょう。

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Photo by Larry Busacca

 何か叫んでいます。この時トレント、25才頃です。デビューして1~2年しかたっていないにもかかわらず、すでに「トレント・レズナー感」を漂わせています(トレント・レズナーですから当然ですが…)。オープニングアクトとはいえ、1990年の時点でピーターとすでに同じステージに立っていたわけで、今回のセッション開催時(2006年)には、二人は知り合って少なくとも16年が経っていることになります。

 ちなみにマリリン・マンソンは1994年にNINのオープニングアクトを務めているので、ジョーディとトレントも知り合ってから約12年。ピーターほどではないですが、やはり長い付き合いです。

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ぼくたち、なんだかんだ長いっスね

 こうやって歴史を振り返ってみると、かつてピーターのオープニングアクトを務めたトレント、そしてトレントのオープニングアクトを務めたジョーディという、音楽的にはある意味、3つの世代にわたる共演であることが分かりますね。

 しみじみ思いをはせていたら、映像に入る前に、文章が長くなってしまいました。いったんここで区切ります。前知識はこれぐらいにして、さっそく映像を見てみましょう! 次回へつづく。

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意外と先輩たちと相性がいいトレント

★★目次★★

きみのアレって…【DVD】「Backstage Pass 3 Uncensored!」(2005年)

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 世の中には、どういう経緯で製作されたのかがよく分からず、本編を観てもやっぱり、なぜこれが作られたのかがよく分からない作品というのが一定数存在しますが、そんな作品のひとつが『Backstage Pass 3 Uncensored!(邦題:バックステージ・パス3)』。2005年にDVDで発売された、55分のドキュメンタリーです。

 上のジャケット画像からも分かるように、出演者としてトゥイギーの名前が大きくクレジットされているので、ファンとしてはかなり期待して観たのですが…。結論からいうと、面白いのか面白くないのかさえ判断がつかない、謎の作品でした。冒頭からセクシーな女性たちの裸のオッパイやお尻の映像がガンガン出てくるので、「あれ!? これってもしかしてアダルト作品?」とパッケージを確認したのですが、とくに成人指定や年齢制限はされていないようです。

 本作を簡単に説明すると、アメリカ出身のメタルバンドであるソサエティ1のメンバーを中心に、約10名のミュージシャンたちが登場して、自分たちがツアー中に経験したクレイジーな出来事(要はエロい武勇伝)を語るインタビュー集。これだけなら、まあありそうな気がしますよね。で、謎なのがそのインタビューに、語られるエピソードとは何の関係もないポルノ女優が登場し、全裸で彼らの膝の上に横たわったり、あんなところやこんなところを刺激したり、全力で話をエロい方向に持って行ったりするのです。中には、体が反応してしまい話どころではなくなってしまうミュージシャンも…(笑)。ただし、全員がこの恩恵にあずかれたわけではなく、トゥイギーを含め何人かは、いたって普通の状況で一人で受け答えしています。うーん、謎多し!

 とにもかくにも、トゥイギーが語っているシーンを見てみましょう。彼の出演シーンは、あわせて二回です。まず一回目は…。

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やあ、ジョーディだよ

「やあ、みんな。ジョーディ・ホワイトだよ」。カメラに向かって、トゥイギー…というかジョーディが自己紹介をしています。テロップも“別名”トゥイギーとなっているので、ここからは、トゥイギーではなくジョーディの名前で記事を書くことにしましょう。名前の下の肩書は、ア・パーフェクト・サークル。ジョーディは2005年3月にはナイン・インチ・ネイルズの一員としてツアーに参加しているので、このインタビュー収録は、それより前におこなわれたのかもしれませんね。

「以前はマリリン・マンソンに10年いたんだ。初期の頃に目撃したことを話すよ」と、ゲイリー・ニューマンのカバー曲『Down In The Park』のレコーディング中(おそらく1994年夏?)に起きた出来事を話し始めました。ただし、「ぼく自身が関わった部分については、カメラの前では話せないけどね」。ここの判断がなかなか賢明だと思うのですが、他の出演者が基本的に自分の体験を語る中、ジョーディは目撃談という形をとった上でその場にいたメンバーについても個人名を伏せ、「ある人が」「名前は出せないけど…」というふうに話をしています。

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こう見えて慎重派

 で、内容はというと、彼らを追いかけるファンの一人だった耳の不自由な女の子に、バンドのみんなとホテルで“あること”をした…というもの。文字にすると過激を通り越して、女の子側の様子に少し痛々しさが漂うのでここに詳細を書くのは控えますが、このエピソードを語る時のジョーディの表情が…

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悲しそう

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とにかく悲しそう

 見ての通り、だいぶ表情が暗いです。少なくとも武勇伝を語る顔ではありません。女の子がどうやって音楽を楽しんでいたのかを想像したり、騒動の最中にどんなことが起きたのかを身振り手振り交えて説明するジョーディですが…

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振動で音を感じていたんじゃないかな

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こんなふうに体に…

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で、この表情

 もともとの顔立ちもあるのでしょうが、とにかく終始悲しそうな表情で、ほとんど笑うこともなく淡々と語っています。女の子側の視点で話している部分も多いため、その時の彼女の心情が伝わってきて、聞いているこちらまで落ち込みます。はっきり言って、ジョーディの話を聞いて「ワオ! ロックスターってすげえな!」的にテンションが上がる人は、おそらく、一人もいないのではないでしょうか。
 悲しそうな表情のままホテルでのエピソードを話し終えたジョーディ。「詳しい話は、マンソンの自伝『The Long Hard Road Out of Hell』に書いてあるよ」とさらりと付け加えました。おそらく自分には一文の得にもならないであろうマンソン個人の本を、バンドを脱退して彼と関係が途絶えていた時期にさりげなく宣伝するという…(笑)。損得勘定をあまりしないタイプなのか、それとも根っからの友達思いなのでしょうか。

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彼の本、読んでね!

 また今の話について、最後に「これは90年代初期の話で、今とは状況が違う。最近はそういうことには関わらないようにしているよ」とも付け足していました。

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大人になりました

 ロック・ミュージシャンが私生活で好き放題やる時代はもう終わった、とも受け取れる発言ですが、ジョーディ以外にも、同じようなことを語っている出演者がいました。それは、フーバスタンクのマークー・ラパレイネン。偶然ですが、彼もジョーディと同じくベーシストです。

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この人がマークー

「バンドのメンバーの背中に女の子が飛びついてきた」と、ロックミュージシャンの体験談としては史上三本の指に入るであろうパンチの弱いエピソードを披露した上で、「過激なエピソードなんてないよ。今は80年代とは違う。ぼくのバンドはみんな物静かで、ツアーバスでは本を読んだりしているよ」。変に隠したり恥ずかしがったりすることなく、率直に語っていました。これはあくまで想像ですが、今回のインタビューでトゥイギーやマークーをはじめ数人の「裸の女の子をはべらかせてない組」は、もしかしたら本人たちがその申し出を辞退していたのかもしれませんね。

 さて、エロい話を披露するというよりも、過去の罪を告白するような悲壮感すらただようジョーディでしたが、ほかの出演者たちがポルノ女優とちゃっかり楽しんでいる映像のあと、もう一度登場しました。カメラのこちら側にいるスタッフ(おそらく監督のマット・ゼイン?)が、やや言いにくそうに質問を投げかけるのを、じっと待っています。

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なんですか?

 いったい何を聞かれているのかと思いきや、「世界中の女性から寄せられた情報によると…その…きみのアレはかなり大きいんだってね。本当かい?」。気持ちがいいぐらい、知性ゼロの質問ですね! それを聞いたジョーディも思わず…

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なんじゃそら

 面食らった様子で、目玉をぐるりと回しています(笑)。クスリとも笑わず、慎重に言葉を選びながら…

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一応考えてはいる

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比べたことないよ

「比べる機会がないから、分からないよ。みんなが言うなら本当なのかもね。そういうことにしておこう」と、穏やかな声で答えました。表情と回答に、「どっちでもいいっス」感がにじみ出ていますね(笑)。まあ、10年前のジョーディに同じ質問をしたら、何のためらいもなくこの場でズボンを降ろした可能性もなきにあらずですが…。

 というわけで、以上がジョーディの出演シーン。

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 冒頭でもお伝えしたように、とにかく企画意図がよく分からない作品なので、いろいろ作品情報を調べてみたのですが、どうも、ソサエティ1のメンバーである監督のマット・ゼインがもともとポルノ監督をしており、『Backstage Sluts』『Backstage Sluts 2: No Ass No Pass』というアダルトビデオ(いずれも1998年作品)シリーズの延長上でこのドキュメンタリーが作られたようです。出演者の一人であるプレストン・ナッシュ(ドープ/ソサエティ1)が、自己紹介の際に「今日はこのスタジオで、トゥイギー・ラミレスと作業中だ」と語っているので、たまたまソサエティ1とスタジオで仕事をしていたジョーディが、その場で頼まれてインタビューに応じた…というのが筆者の想像なのですが、どうでしょうか。

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監督のマット・ゼイン

 DVDの紹介文には「過激でセクシーなロック・ミュージシャンの舞台裏を徹底解明」「超豪華アーティストの酒池肉林の世界」と、70年代か80年代だったら成立したかもね!という魅力的な文言が踊っており、もちろんそれは嘘ではないのですが、むしろ2005年という時期に一部のミュージシャンたちがどういう立場に置かれていたかが哀愁とともに伝わってくる、くどいですが面白いんだか面白くないんだかよく分からない作品だったので、興味のある方は、ぜひ探してみてください。

 あ、間違っても、家族に見つかる状況では絶対に鑑賞しないように気をつけてくださいね!(笑)

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え、これってDVDになってるの?

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★作品情報

【タイトル】バックステージ・パス3 UNCENSORED
【レーベル】ハピネット・ミュージック
【出演】ベン・ムーディー(元エヴァネッセンス)、ジェイソン・ミラー(ゴッドヘッド)、マーク―(フーバスタンク)、トゥイギー(ア・パーフェクト・サークル)、プレストン・ナッシュ(ドープ)、マット・ゼイン/シン/ダート(ソサエティ1)、ヘイト・ダディ(ウルフ・パック)ほか

参照:IMDb

★★目次★★

カシミアのセーター最高!【DVD】A Perfect Circle「aMOTION」(2004)

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 2021年現在、このDVD本編に収録されているプロモーションビデオのほとんどがA Perfect CircleYouTube公式チャンネルで視聴可能という、ある意味、ファンとしての購買意欲がシンプルに試されるA Perfect CircleのDVD「aMOTION」。

 一応DVD+CDの2枚組になってはいるものの、このCDというのがまた、(クレジットを見る限り)ジョーディが一切関わっていないリミックス版…というわけで、まあ一言でいうと、「ジョーディファンが手を出すものとしては、かなりハードルが高い商品のひとつ」なわけですが、うーん…見たい…。作品情報やレビューを見る限り、ジョーディの登場場面は超少なそうですが、A Pefcect Circleの傑作アルバム「Thirteenth Step」をひっさげたワールド・ツアーの舞台裏も収録されているらしい。…ということで、やっぱり見てみることにしました。

 最初にDVDの構成をざっくり説明すると、プロモーションビデオ(8曲)にライブ映像(1曲)が収められた「本編」と、別バージョンのプロモーションビデオ&メイキング映像が収められた「特典映像」、そしてバックステージ映像(12分)とスチール写真が収められた「ビデオクリップ&フォトギャラリー」の大きく3つに分けられます(他にメイナードとビリーによるオーディオコメンタリーもついているのですが、今回の記事では割愛します)。

 まずは本編から見てみましょう。冒頭で述べたとおり、基本的にはどれも現在A Perfect Circleの公式YouTubeチャンネルで公開されているので、純粋に彼らのプロモーションビデオを観てみたい!という方は、そちらを観ることをおすすめします。ただし、ライブ映像として唯一収められている「The Noose」だけは、このDVDでしか観ることができません。そしてこのライブ映像こそが、本編の中で唯一ジョーディが出演している映像なのです(いいかえると、プロモーションビデオにジョーディは一切出演しません)。

 このライブ映像、非常にクオリティが高いです。むしろ、全編この日のライブDVDにしてもよかったんじゃ…?というのが筆者の正直な感想です(笑)。それほど、音も映像も圧倒的なパワーを放っています。会場の盛り上がりもハンパないです。しかし…しかしですよ、皆さん! おそらくダークで美しい作品世界に合わせてのことだと思うのですが、ステージの照明の暗さもハンパないです。いや、もちろん、それ自体は全然いいんですよ! 幻想的なステージの演出のおかげで、心ゆくまでAPCの世界に没入することができます。ただし、素晴らしい演奏を見せるメンバーひとりひとりを認識するのは、かなり困難です。メイナードも、ビリーも、イハも、ジョシュも、もくもくと焚かれたスモークと、ブルーの照明の向こうにかすんでいます。そしてジョーディにいたっては…

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後ろ姿とシルエットで…

 なんとか2~3秒、一瞬顔に当たった照明や後ろ姿のシルエットで「あ、たぶんこれジョーディだ」と分かる程度です。もはや、サブリミナル映像です。でも、いいんです。全員の演奏の素晴らしさが、すべてを打ち消してくれますから。演奏時間は、たった6分ですけどね!(泣)

 というわけで、あっという間に本編の解説が終わってしまいました。次は、特典映像です。なになに、プロモーションビデオの別バージョン(コンテストを勝ち抜いたファンが作ったものもあり)や、謎のおバカ映画「ビキニ・バンディッツ」の予告編…? ふむ、なるほど、なるほど…。ほう、けっこうたっぷり収録されています。見終わりました。

 えーと、メンバーの演奏シーンが…ほとんどないですね(笑)! 基本的に俳優が演じる物語仕立てになっているものと、アニメーションが多いです。おそらくメイナードのユーモアセンスが反映されてるのだと思うのですが、ファンなら確実に、「もっと、メンバーのみんなが演奏しているところが見たい」という欲求不満に襲われると思います(笑)。すんなりそうしないところが、きっとAPCの美学であり魅力でもあるのでしょうね。楽曲のイメージと直結していない映像もあるので、純粋に音楽面からAPCに興味を持った人にとっては、このノリについていけるかどうかが分かれ目になる気はします(男性ならかなり楽しめるかも?)。というわけで、ジョーディが1秒も登場することなく、「特典映像」は終わってしまいました。(泣)

 もはや、諦めの境地に入り始めた筆者。もう、ジョーディ目当てで観るのはやめて、純粋にA Perfect Circleファン目線で楽しもうと決めて、最後のビデオクリップを観始めました。タイトルは「ビデオクリップ パート1」となっていますが、どうやらスタッフやメンバーが撮った映像を集めたホームビデオのようです。パート1ということは、どこかにパート2が存在しているのでしょうか? 調べましたが、現時点ではまったく分かりません。

 とにもかくにも、こういう舞台裏の映像が大好きな筆者は、一気に身を乗り出しました。「Thirteenth Step」だけでなく、前作「Mer de Noms」ツアー時の映像も混ざっているようで、嬉しいことに、初代ベーシストであるパズ・レンチャンティンや、旧ギタリストのトロイ・ヴァン・リューウェンも登場します。ダニー・ローナーの姿も!(パズの前でやたらかっこつけているのが可愛いです)

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カメラを録音の機械と思い込んで油断しているダニー(右)

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演奏時とのギャップが最高にチャーミングなパズ

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ドアに指を挟まれた痛さを延々グチり続けるトロイ

 人なつっこいジョシュや、シャイなのかあまりカメラの前に出てこないメイナード、そもそもこのビデオを撮影しているらしいビリーの姿など、APCのメンバーのリラックスした姿を堪能していると、8分を過ぎた頃、お客さんを前にステージに立つ黒いスーツ姿の2人が登場しました。

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あ、きみたちは…

 ようやく登場しました! ベースを弾いているジョーディと、その隣でマイクを手にジャンプしているジェイムス・イハです。イハが楽器を持たずに何か歌っているのですが、テンションが完全に「二次会のカラオケで酔っ払ってる人」状態のため、いったい何の曲なのかわかりません。しかしこのメロディー、どこかで聴いたことあるような…。あっ、よく聴くと、ジャーニーの「Don't Stop Believin’」ではありませんか! 音程という概念がゆらぐほど熱唱するイハと、それはそれは気持ちよさそうにベースを弾くジョーディ。大盛り上がりの観客を前に、二人とも、超ハイテンションです。

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熱唱するイハ

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ジョーディも負けてません

 ひたすらジャーニーの世界に酔いしれている二人の姿に思わず笑っていると、今度は、楽屋の映像に切り替わりました。この日のライブの余韻に浸っているメンバーたち。メイナードはなぜか、サンタクロースの扮装をしています。その後、ドラムのキック音を正確に刻みながら、空いた両手で全く別のことを器用にこなすジョシュ(たぶん本番中?)の姿に驚嘆していたら、カメラはまた楽屋の映像に切り替わり、画面の前に再びジョーディが現れました。

 どうやら、鏡で自分たちの姿をチェックしているようです。カメラの方に寄ってきたかと思うと…

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何やら興奮気味

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着ているセーターをなでながら…

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ちょっと聞いてよ

 80ドルで買ったというカシミアのセーターの着心地を、イハとジョシュに向かって自慢し始めました(笑)。

 長袖のシンプルな黒のセーターですが、よほど気にいったようです。いいでしょ~と何度も自分で触りながら、はしゃいでいます。しかしクールなジョシュは、「カシミアにしては安すぎるんじゃないか」と、ドライな反応(笑)。ジョシュの言葉を聞いたイハも…

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「ヨレヨレのヤギなんじゃないか」

 と、さらに冷たい一言を。ひどい(笑)。イハが興味なさげにどこかに行ってしまったので、残されたジョーディ、所在なさげにジョシュの隣に移動しました。

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あきれるイハの後ろで、ずっと鏡を見てるジョーディ

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ピンク髪のジョシュは、もはや目も上げず

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誰か話を聞いてくれ

 カシミアのセーターがいかに素晴らしいか誰も分かってくれないのが悲しかったのか、最後はカメラに向かって「プラダよりいい」と熱く語るジョーディでした。カシミアのセーターでこれだけ喜んでもらえたら、きっとヤギも本望でしょう。

 その後は、まるで本編や特典映像にほぼ登場しなかった分の埋め合わせをするかのように、ジョーディがどんどん出てきます。

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告知コメントを収録している姿や…

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メイナード&イハとジャーニーの曲に合わせて踊り狂う姿や、

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「ジェイムス・イハ―!」と絶叫し、変なラップを披露する姿も

 ここにあげた場面以外にも、メタリカの曲をイハと演奏する姿など、まあ、とにかく楽しい映像が続きます。とくにジャーニーの「Separate Ways」に合わせて飛び跳ねながらダンスするシーンは、上の画像では分かりづらいのですが、一見の価値ありです。観てるこっちまで幸せな気持ちになります(笑)。

 びっくりしたのは、ハロウィーンの時の映像。他のみんなが仮装している姿を見てジョーディが大ウケしているのですが…

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このドレス、もしや…

 なんと、トゥイギー時代のあの懐かしいドレスを着ているではありませんか! ドレスを自分で保管していたのでしょうか。前に、どこかのインタビューでジョーディが「ハロウィーンにイハと仮装した」と語っているのを読んだ記憶があるのですが、まさか、こんな格好をしていたとは。映像が残っていたことにも、驚きです。

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カメラに向かっておどけるジョーディ

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テンションMAX

 本人はふざけてるのでしょうが、こうやって見ると、やはり女装のクオリティがハンパないですね! 気合の入りよう、似合いようが違います。もはや、ハリウッド女優レベルです。想像するに、これ、ただ女装しているんじゃなくて、おそらく何かのキャラクターに扮しているんじゃないかと思うんですよ。というのも、同じ場面でイハは…

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超ひどい

 見ての通り、オズの魔法使いのドロシーに扮してるんです。こっちは、似合う似合わない以前に、似合わせる気がまったくないとしか思えません。ドロシーをナメています(笑)。というわけで、ジョーディは東(西?)の魔女に扮しているのではないかというのが筆者の予想ですが、どうでしょうか。

 最後は、楽屋?のソファに座ってくつろいでいるジョーディ&イハの映像で終わります。

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無言でカメラを見つめる二人

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ジョーディだけこらえきれずに笑ってしまいました

 というわけで、この「ビデオクリップ」が観れただけでも、思い切ってDVDを買ったかいがあったというものです。惜しむらくは、絶対もともとはものすごい長さの映像があったんだろうな…ということが分かってしまったことです。べつにわざわざ12分にまとめてくれなくたって、120分の長さでも全然良かったんですけど!! で、ノーカットのライブ映像と2枚組にしてくれたらなおいっそう良かったんですけど!!(しつこい)

 欲を言うときりがなくなってしまうので、己のいやしさをいましめながら、リミックスCDとフォトギャラリーを堪能して、心を静める筆者でありました。フォトギャラリーも、ジョーディ率(というかジョーディ&イハ率)が高くて、良かったですよ~。ツアートラックに大きく「ジョーディ・オズボーン・ホワイト」と書かれている写真があり、ジョーディが一時期フルネームで本名を名乗っていたことも初めて知りました。ただし、解像度が低い写真が多いので、そこは覚悟してください。たぶん、いまでいうガラケーの「写メ」で撮ったものがかなりあるんじゃないかと思います(笑)。

 フォトギャラリーからいくつかピックアップして、この記事を締めくくりたいと思います。

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一枚目からいきなりジョーディが登場

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叫ぶジョーディ、真顔のイハ

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ひょっこり顔を出すジョーディ&イハ

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DVD情報

A Perfect Circle: aMOTION

発売日:2004年11月16日

発売:Virgin(日本版:東芝EMI

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★★目次★★

トゥイギー、メタリカに加入!?【DVD】「Metallica: Some Kind of Monster」(2004)

www.youtube.com

  トゥイギーがメタリカのオーディションを受けていた! その時の映像が入っているらしい…ということで、さっそく観てみました。2004年公開のドキュメンタリー映画「Metallica: Some Kind of Monster」(邦題「メタリカ:真実の瞬間」)。※上の予告編にはトゥイギーが映っているシーンはありません

 残念ながらメタリカについての知識がほぼゼロの筆者(メタリカファンの方、すみません)。いわゆるライブ映像ではなく新作アルバムを完成させるまでのドキュメント、しかも140分の長尺ということで、果たして最後まで振り落とされずについていけるのか…と少々不安を抱えて観始めたのですが、心配無用でした。めちゃくちゃ面白かったです! 140分中120分はメンバーが悩んでいる…というかそもそもメンバーの一人が途中でいなくなってしまうという、「ちょっとメタルのDVDでも観て気合入れようかな♪」的な軽いノリで観ると、100%期待を裏切られるヘビーな内容です。

 バンド内の人間関係が手に負えないレベルまで悪化してしまったため、驚くことに「バンドの問題を解決するためのセラピスト」なる専門家まで雇われるのですが、これってすごくないですか!? まるで離婚の危機を迎えた夫婦のように、メンバー全員がひとつの部屋に集まって、険悪な雰囲気の中でお互いの問題点を話し合うんですよ。メタリカがこのセラピストに対してどのような感情を持ち、それがどう変わっていくかがある意味この映画の肝にもなっているわけですが、好きなバンドが解散するという悪夢を経験したことのある音楽ファンなら誰しも、「もしこのセラピストが投入されていたら、ひょっとしてあのバンドは今も活動を続けていたのだろうか…」という考えが頭をよぎると思います(笑)。

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あのバンドももしかしたら…

 そのようなヘビーな内容にもかかわらず、ラストまで観終えた時には、とにかくもう、彼らのことを好きにならずにはいられない! その一人である筆者は、さっそく、メタリカのアルバムを探しはじめています。まずはやはり、この映画で描かれている苦闘の成果である「St. Anger」から手をつけるのがよいのでしょうか。

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ジャケットかっこいいですね

 さて、このブログはトゥイギーについてのブログなので、語りたいあのシーンやこのシーンについては涙をのんですっ飛ばし、トゥイギーに集中したいと思います。

 前情報で、メタリカが脱退したベーシストの代わりを探すということだけは知っていたので、さて、いつ探し始めるのだろうかと思いながら観ていたのですが、なかなか探し始めません(笑)。映画が1時間たっても、1時間半たっても、まだ探し始めません。実はレコーディングでは他のスタッフがベースを弾いているため、そもそも探す必要がないんですね。途中でファン感謝デーのイベントがあり、そこで「(この場で)メタリカと共演したいベーシスト募集!」的な企画がおこなわれるので、「ま、まさかファンにまじって手をあげたのか…!?」と緊張したのですが、さすがにそれは違いました。ここでは、一般のファンがそれはそれは楽しそうにメタリカと共演しています。まわりの観客も大盛り上がり。ファンにとっては、至福の時間だったでしょうね。

 物語に引き込まれながらも、内心「そろそろ探し始めてくれないかな…」と思い始めたその時、流れが変わりました。彼らが、実質ロックの殿堂入りを意味するという「MTVアイコン」に選ばれたとの知らせを受け、ステージで演奏できるベーシストを大至急探さなければいけなくなったのです。しかも、そのベーシストを正式なメタリカのメンバーにしよう、と。おおー! まだ微妙にバンド内の空気が硬いまま、オーディションが行われます。オーディションといっても、「はい、俺たち審査しますから次の方どうぞ~」的なものではなく、スタジオで一緒に、本番さながらメンバーと演奏するのです。ほんとうに、時間がない中で探したんだということが伝わりますね。

 さて、オーディションに参加したメンバーは…

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 スコット・リーダー(ユニダ/カイアス)に、

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 出ました、トゥイギー! クレジットは、ジョーディ・ホワイト(別名トゥイギー・ラミレス)です。肩書は「ア・パーフェクト・サークル/マリリン・マンソン」となっています。映像で見てもらうとよく分かるのですが、もう、見るからに緊張しています。他には…

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 ペッパー・キーナン(COC)。ここまでの写真を見てもらってお分かりのとおり、みんな、こちらまで嬉しくなってしまいそうないい表情をしていますね。他には…

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 ロバート・トゥルージロ(オジー・オズボーン他)

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 クリス・ワイズ(ザ・カルト)

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 エリック・エイヴェリー

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 あれ、さりげなくナイン・インチ・ネイルズのダニー・ローナーがいるではありませんか! トレントに怒られちゃうよ!(笑)

 以上がオーディションに登場した(少なくともこの映画に登場した)7名です。本編ではここに至るまでの過程は描かれていませんが、この7名に選ばれるだけでも、とてつもなくすごいことだということは想像がつきます。メタリカのメンバーも「(みんなの)腕は知ってる。あとはノリだ」とコメントしているとおり、オーディションは相性を確かめるという意味合いが強かったようです。オーディションの合間、メタリカのメンバー同士が一瞬ぎくしゃくしてしまうのですが、スタッフが「とにかく敬意を払って演奏するんだ」とアドバイスしていてぐっときます。オーディションとはいえ、ここにいる7名全員、キャリアを積んだ立派なプロですものね。メタリカのメンバーの言動にも、随所に彼らへの気遣いと優しさがあふれています。亡くなったベーシストのクリフ・バートンについても、冗談を交えつつ愛情のある言葉で語られています。

 さて、この中の誰が「四人目のメンバー」になるか…!?ですが、まあ、演奏中のメンバーの表情から、すぐ「あ、この人に決まったな」というのが分かってしまいます(笑)。その雰囲気もふくめ、ぜひ本編を見て楽しんでください。

 オーディションで演奏している映像自体は、ひとりあたり数秒程度なのですが(実際は二時間半ぐらいだった模様)、この数秒の映像が、ほんとうに素晴らしくてトゥイギーファンはもちろん、音楽ファンならきっと心をつかまれると思います。なぜかというと、トゥイギーを含めてみんな、憧れの大先輩を前に、完全に少年のような表情になっているんです!

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嬉しそう

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一生懸命弾くトゥイギー(左)も・・・

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表情は真剣そのものだけど・・・

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チラッ(隠しきれない嬉しさ)

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ダニーはまるで高校生

 オーディションの合間にはみんな、記念写真まで撮っていました! ちなみにトゥイギーの撮影風景は…

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目つぶっちゃった

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脱いじゃいました

  本当に楽しそうですね! 結果はともかく、メンバーいわく(いい意味で一人を除き)「110%の力で頑張った」みんなに、拍手を送りたくなる貴重なシーンでした。

 このDVD、嬉しいことに日本版が出ていて比較的入手しやすいです。特典映像がなんと189分あります。メタリカ好きな方はもちろん、メタルの知識がなくても引き込まれてしまう魅力にあふれた作品なので、見つけたらぜひチェックしてみてください。

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おまけ:きょろきょろして落ち着かないトゥイギー

 

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DVD情報

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「Metallica: Some Kind of Monster」(日本版タイトル「メタリカ:真実の瞬間」)

発売:パラマウント ホーム エンタテインメントジャパン

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★★目次★★

 

MuchMusicインタビュー その③ 怖いよ、怖いよ(2003年9月)

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 続きです。(前回の記事

 休憩をはさんで、番組後半が始まりました。ビリー・ハワーデルとジェイムス・イハも加わり、メイナード以外のメンバーが勢ぞろいです。さきほどの女性MCに加えて、男性MCも登場。一気に人数が増えて、みんなで弧を描くように並んでいます。同じスタジオ内の別の場所に移動したようですね。

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左から男性MC、ジョーディ、ビリー、ジョシュ、女性MC、ファン、ジェイムス

 前半では一人だけマイクを持っていなかったジョーディですが、後半でもやっぱりマイクがありません。というか、今度はジョシュまでマイクなしに…。この番組には、“マイクは必要な数よりちょっと少なめに”というポリシーでもあるのでしょうか!? それとも、また二人に「たまにね」「そうさ」の掛け合いを始められてしまうことをスタッフが危惧したのでしょうか。

 観客の中から選ばれたファンの男の子がメンバーに質問を始めますが、その前に、ジョシュの手元にちょっと注目してください。

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左端がジョシュ

 お気づきでしょうか。なぜかジョシュ、人差し指で拍手しています(笑)。拍手というのは手だけじゃなく指でもできるという驚きの新事実。やはり並外れた才能を持つドラマーとなると、手の使い方の概念が凡人とは違うのでしょうか。音を立てずに拍手を送りたいときに使えそうなテクニックです。

 それはさておき、ファンの質問に戻りましょう。緊張気味な彼がたずねたのは、「新しいメンバーが加わって、バンドが持つパワーはどう変わった?」。横からジェイムスが「おっと、難しい質問だね」と突っこんでいますが、まあ、”新しいメンバー”のジェイムスとジョーディには答えようがないので、他の二人がどう答えるかが気になるところですね。

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質問考えてきました

 まずジョシュが「いい感じだよ。その、つまり…」と質問に答えようとしますが、ここ、メンバー全員の動きをよく見てみてください。まず直前にビリーが、ジョシュの顔にわざとマイクを押し当てています(笑)。

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グイッ

 それに気づいて、笑うジョーディとジェイムス。遠いように見えて向かい側に立っているので、一瞬目が合ったようにも見えます。

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笑ってます

 で、次の瞬間、ジェイムスが画面の右から手をのばし…

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右から伸びるジェイムスの手

 自分のマイクを、ジョシュの口元に持っていきました(笑)。しかも、さっきまで全然ユーモアの通じなかった女性MCに加え、男性MCまでもが矢のような反応速度でこの流れに便乗します。なんというノリの良さ。

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マイク攻撃にあうジョシュ

 突然四本のマイクに囲まれて「怖いよ、怖いよ!」と怯えた表情で後ろにのけぞるジョシュ。まるでコントのように美しい流れです。ああ、ジョーディがマイクを持っていなかったことが悔やまれますね。…と思ったら!

 一瞬カメラに映った手の動きから想像するに、とっさに隣の男性MCからマイクを借りたっぽいジョーディが…

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ゴツン!

 何のためらいもなく、マイクでジョシュの顔面を攻撃しました。最高ですね! ジョシュ、なんとか踏みとどまって「ジョーディはいいベーシストだしジェイムスもいいギタリストだから、うまくいってるさ。楽しいよ」とヤケクソ気味に答えてますが、ただでさえ発言がスルーされがちな彼。ジョーディのマイク攻撃にみんな笑ってしまっているため、おそらく誰も話を聞いてません。

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くそ、ジョーディにしてやられた

 一方ジョーディはというと、満足そうな表情を浮かべてから…

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大満足

 何を思ったか、男性MCに返す前にマイクを自分の右目に近づけて、顕微鏡のように覗いています。フリーダム! 行動がまるで好奇心いっぱいの小さな子どものようですが、果たして向こう側に何が見えたのでしょうか(笑)。

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何か見えるかな?

 さて、マイクで遊ぶメンバーたちの姿に気をとられていましたが、そういえばまだ質問の途中でした。ジョシュから今度はビリーにバトンタッチ。「ジョーディの方が、ベースが女性的なんだ」とビリーが語るのを、ジョーディ本人は妙に真剣な顔で聞いています。

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突然の真顔

 何を考えているのかと思ったら、次の瞬間…

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「彼、何て言ったの?」

 一生懸命答えを考えたっぽいビリーに対して、身も蓋もない発言を(笑)。ふざけているのか、本気で意味が分からなかったのか…。ジョーディのベースの音が“女性的”というのは、ビリーだけでなくけっこう多くの人が感じることではないでしょうか。もちろん本人の性別どうこうという話ではなく、荒っぽくない繊細な音というニュアンスですね。

 しかし、ジョーディに突っ込まれてちょっと自信がなくなってしまったのか、ビリーは「ぼくも分からないよ。本人を目の前に話すなんて変な感じだ」。そもそも新メンバーがバンドにもたらした影響を、本人がいる前で語るのは難しいと正直に告げました。そりゃそうですよね。

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正直者のビリー

 それを聞いて反応したのは、女性MC。持ち前の大胆さをフルに発揮し、「ジョーディにここからいなくなってほしい?」と、おそろしすぎる質問をしました。ジョーディがこの場にいなければ話しやすい?という意味なのでしょうが、冗談なのかそうでないのかがよく分かりません。というか、たぶん冗談ではありません。ビリーも面食らったのか、つい「うん」と答えていますが、こちらはもちろん冗談でしょうね。とはいえ観ている側としては、さっきのジョシュじゃないですが、もう「怖いよ、怖いよ!」です。

 ところが、ジョーディじゃなくても心が折れそうなこの状況を、切り抜けた人物が一人だけいました。ジョーディです! なんと、彼らのやり取りを聞いた瞬間…

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そういうことなら…

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スタスタスタ

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いなくなっちゃうよ

 なんと、カメラの前をスタスタ横切って、どこかに姿を消そうとしました(笑)。普通なら場が凍り付きそうな流れを笑いに変えたジョーディ、天才です。よく見ると、右手にまだアルバムを持っているのがまた笑えます。休憩後も、ずっと持ってたんですね。慌ててみんなが引き止めますが、ビリーが「ジョーディは最高だよ!」と誰よりも慌てた様子で呼び戻しているのが泣けます。

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慌ててジョーディを呼び戻すビリー

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じゃあ戻ろうかな

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戻ってきました

 みんなが引き止めた甲斐あって、無事に戻ってきたジョーディ。本気で申し訳なさそうな表情をしているビリーはもちろん、他のみんなもほっとしている様子です。

 ジョーディ本人も嬉しかったのか、メンバーにお礼を言って番組を締める男性MCをじっと見つめてから…

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じっと見てる

 ちょっと分かりづらいですが、手を伸ばして肩を組んでいます。ビリーをはさんで、ふたたび人差し指拍手をしているジョシュにもご注目ください。

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めでたし、めでたし

 ここに来て、たぶん女性MCの名前が「ジェン」っぽいということが発覚しましたが、ややこしいのでこのままでいきます。というか、番組が終わってしまいました。あれ!? この記事の最初で、動画の流れがパート2→パート1と説明しましたが、筆者の勘違いだったようです。順番がおかしなことになってしまいましたが、次回の記事でパート1を紹介したいと思います。

 というわけで続きは次回!

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いったんお別れ

★★目次★★

MuchMusicインタビュー その② イエスかノーか?(2003年9月)

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 続きです。(前回の記事はこちら

 マイクを嗅いですっかりいい気分になったらしいジョーディ。何の話をしてたっけ? と律儀に質問に戻ろうとしますが、女性MCもさすがにこの流れでは無理と判断したのか、「次の質問にうつりましょう」と笑っています。

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さすがに無理だわ

 ここまで数々の難問&奇問を繰り出してきた彼女、今度は「バンドにとって、ユーモアはどんな役割を持ってる?」。おお、シンプルでいい質問ですね! ジョシュもジョーディもこれなら答えやすいと思ったのか、二人ほぼ同時にしゃべり始めました。

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やっと普通の質問が来たよ

 まずはジョシュ。「ユーモアの役割はすごく大きいよ。ぼくたちはおバカの集まりさ。音楽はふざけてないけど」。ジョーディも、「楽しむんだ。自分のことでもなんでも、まじめに考えすぎないことだよ」とうなずきます。

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楽しむことが大切さ

 しかし二人の回答に対して女性MC、「APCのメンバーがまじめだったら、何かリスクでもあるの?」とまた絶妙に面倒くさい質問をしました。一瞬考えてから、ジョシュが「たまにね」と返しますが、なぜか全員沈黙。ジョシュ、けっこうウィットに富んだ回答をしているはずなのに、なぜこうもスルーされてしまうんでしょうね!?

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鬼スベリするジョシュ

 あまりの反応のなさに、「いまの答え、良くなかった?」と自分で笑ってしまうジョシュ。その姿が面白かったのか、それともユーモアについての話なのにユーモアが通じない状況自体が面白くなってしまったのか、ジョーディは、「そうさ」と何に対する同意なのか、もはやよく分からない返事をしました。

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何がダメだったんだ自分

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中身ゼロの「そうさ」

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なんか面白くなってきちゃった

 ここの流れ、妙な間が笑えて筆者は大好きなのですが、まあ、観る人によってはグダグダでしょうね(笑)。もしかしてこの二人はインタビューが苦手なのか?と、少し心配になってしまいそうです。まさにそう感じたらしい女性MC、おそろしいことに彼らに「インタビューって楽しい?」とたずねました。なんというストレートな質問でしょうか。インタビューされている最中にそんなことを聞かれたら、筆者だったら動揺のあまり倒れてしまいそうです。

 しかしここでジョシュ、「たまにね」と、果敢にもさっき大外しした球をもう一度投げました! ジョーディもジョシュに合わせて、「そうさ」。言いながら笑っちゃってますが、まるで餅つきでもしているかのように見事な阿吽の呼吸です。このやりとりを予想していたかのように、カメラが完璧なタイミングで二人を追いかけているのがまた笑えます。

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ジョシュ、渾身の「たまにね」(二回目)

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再びの「そうさ」

 姿こそ見えないものの、確実に彼らのユーモアを理解してるっぽいカメラマンとは違って、ますます不安になってしまった様子の女性MC。「これじゃ(イエスかノーかの)一言インタビューだわ」と嘆きますが、それを聞いたジョーディ、

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「イエス!」

 彼女のマイクを握りしめて力強く言い放ち、「イエスかノーかの質問にして」と悪ノリしはじめました。ためらう女性MCに、「じゃあ、“本当かウソか”は? 複数選択でもいいよ」。世の中にインタビューは数あれど、質問をクイズ形式にしてくれと答える側がリクエストするというのは、なかなかないでしょう(笑)。さらにその様子を見ていたジョシュが左手でジョーディをトントンと叩きます。

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ねえねえジョーディ

 なにを言うのかと思いきや、「ハリー・ケリーのあれ、やってよ」。謎の発言です。即座にジョーディが「ノー!」と変な顔&変な声で答え、それを見たジョシュが大笑いしています。二人からの説明が一切ないので分かりづらいのですが、おそらくジョーディ、こちらのインタビューでも当時ハマっていたと語っている、人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に登場するキャラクター、“ウィル・フェレルがモノマネする野球実況者ハリー・ケリー”のモノマネをしています。

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モノマネ中のジョーディ

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大ウケのジョシュ

 つまり、モノマネのモノマネという難易度の高い芸に挑んでいるわけですが、似ているのかどうか、ここでちょっとオリジナル(のモノマネ)を見てみましょう。

 こちらが、ウィル・フェレル版のハリー・ケリーです。

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 どうでしょうか。ちょっと似てるような気がしませんか!?  

 上の動画でも「イエスかノーか」という質問が出ていることから想像するに(2:08のあたり)、ジョーディと女性MCのやり取りを見たジョシュがハリー・ケリーを連想し、普段からハリー・ケリーのモノマネをやっていたジョーディに「あれ、やれば?」とリクエストしたのではないかと思われます。が、はたしてスタジオで元ネタに気づいた人はいたのでしょうか(笑)。

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少なくともジョシュにウケたからOKさ

 二人の意味不明なやりとりに困惑しつつも、場をまとめようとするけなげな女性MC。そこに、横から邪魔が入りました。ジョーディです! 彼女のマイクをつかんで自分のほうに引き寄せると…

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マイクを奪おうとするジョーディ

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「ぼくたちから質問です」

 なんと、逆に女性MCに質問をし始めました(笑)。ところがその質問というのが、「もし月がスペアリブでできていたら、食べる?」。横からジョシュが「バーベキューのスペアリブね」と補足してますが、完全に意味不明です。彼女に「ベジタリアンだから食べないわ」と返されてしまい、ちょっと苦笑気味のジョーディ。

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そうきたか

 しかし今度は、「じゃあ、チーズだったら?」

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月がチーズだったら、食べる?

 ジョーディの質問に、「チーズの種類によるわね」と女性MCが正直に答えます。こんな質問をされて、まともに返しているのがある意味すごいですね。さらに質問が止まらないジョーディ、今度は「狂牛病にかかるのと仕事で一番になるの、選ぶならどっち?」。もうめちゃくちゃです! 彼女も「それって質問なの?」と戸惑っていますが、これも実は全部ハリー・ケリーのあるコントの中の台詞でした。…ということに、筆者は最近ようやく気づきました。

 こちらがその動画。「もし月がバーベキュー・スペアリブでできていたら食べるかね?」「狂牛病にかかるのと専門分野で一番になるの、選ぶならどちらだい?」など、ウィル・フェレル演じるハリーがひたすら意味のない質問をしていて実に楽しいので、ものすごくヒマな方はぜひチェックしてみてください。

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 さて、当然ながらジョーディの質問の意味が理解できない様子の女性MC。それでも「もちろん仕事で一番になる方を選ぶわ」と答えて、二人への質問はいったん終了しました。よく見ると、ジョーディはまだ一人でハリーのモノマネをしていますが、もはやジョシュにすら気づかれてないっぽいので、われわれも頭を切り替えて、次に進むことにしましょう(笑)。

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まだやってる

 女性MCの説明によると、この番組には視聴者によるミュージックビデオの人気投票があるようです。画面の左下に、リンプ・ビズキット『Eat You Alive』、メタリカ『Frantic』、そしてKORN『Did My Time』と三つのタイトルが表示されました。ハリー・ケリーのモノマネ続行中につき変な顔をしているジョーディ、まるでこのラインナップに異議があるかのような感じになっちゃってます。タイミング悪し!

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嫌な顔をしているわけではない

 しかし、そもそも誰にも気づかれていないので、無問題でした。ここに出てきた三組いずれも、ファンを怒らせると超怖そうですから、ジョーディ、気づかれなくて本当に良かったですね! そう安心したのもつかの間、画面に映らないところにある投票結果を見たらしいジョシュが、

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「全員負けた」

 と、キワキワのジョークをかましました。さきほども言った通り、ここに出てきた三組のいずれも、ファンを怒らせると超怖そうですから、なかなか危険な綱渡りです。場合によっては、暴動が起きてもおかしくありません。しかし、そもそもジョシュは発言がスルーされる天才なので、無問題でした。発言が誰にも拾われなくて、ジョシュ、本当に良かったですね!

 とはいえ、ジョーディはなんらかの危険を感じ取ったのか…

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「どれもすごくいいから、選べないよ」

 “無難な答え”界でも最高レベルに位置するであろう無難なコメントをしました。いい判断ですね! このコメントなら誰も傷つけないし、間違ってファンの暴動が起きることもないでしょう。しかし、女性MCに「全部好きってこと?」と聞かれ…

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「・・・」

 正直に、黙り込むジョーディ(笑)。何か言おうとしますが言葉が出てこないのか、口を開けたまま固まっています。さらにその横で、「なんか、照明が熱いんだけど」と額の汗をぬぐうような仕草をして慌てるジョシュ。

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大ピンチ

 おそらくユーモアもこめたのであろうジョシュの発言をしっかり言葉通りに受け取った女性MC、「いったん休憩に入るから、クールダウンしてね」と優しく声をかけました。その間、カメラは…

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アップになるジョーディ

 これ以上ないタイミングで、フリーズするジョーディをわざわざアップで映しました(笑)。このカメラマン、完全に確信犯ですね! 画面から、「やばい」というジョーディの心の声が聞こえてきそうです。観客から拍手が起こり、いったん番組が休憩(おそらくCM?)に入る中、打ちひしがれている様子の二人の姿をご覧ください。

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しょんぼり

 ハリー・ケリーのモノマネであんなに楽しそうだった二人とは思えないほど、冴えない表情です。ビデオのくだりでうまく返せなかったと感じてしまったのか、それとも自分たちのユーモアを素敵な笑顔で殺しにかかる女性MCの鉄壁のガードの前に崩れ落ちてしまったのか…(笑)。

 彼らの心の内は分かりませんが、少なくともファン(と、姿の見えないカメラマン)にとっては、なんとも楽しい前半戦でした。相手に伝わるか伝わらないかなんてことにとらわれることなく、一分一秒もぬかりなくふざけつづけた二人に拍手を送りつつ、次回はいよいよ他のメンバーも登場です!

 へ続く。

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