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Jeordie White(a.k.a.Twiggy / Twiggy Ramirez)を知るためのブログ。時空をさかのぼって不定期更新中。May the force be with you!

「ハワード・スターン・ショー」その③ お前がオジーボーンだな?(1997年)

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 続きです。(前回の記事はこちら→

 CMの合間、ハワードが観覧席(?)を指さしながら「ぼくが叫んだら、みんな、お互いをレイプしろ!」と過激なジョークをとばしています。番組恒例のセリフだったのでしょうか? 内容も内容ですが、これが放送されたという事実に驚きます。こうやって見ると、90年代って、今に比べると規制がまだそこまで厳しくなかったんですね。…とはいえ、当時は当時で、オジーもマンソンも、世間からの過剰な反応や嫌がらせに悩まされていたようです。いったいどんな内容だったのでしょうか? というわけで、CMが明けて番組中盤戦がスタートしました。

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あいかわらずハワードを見つめているトゥイギー

 ハワードがさっきとは打って変わってまじめな表情で、マンソンたちが置かれている状況についてたずねています。「ある宗教団体を訴えると聞いたよ。彼らは、きみたちについて嘘をでっち上げた手紙を送りまくっていたんだよね。きみたちが観客に女の子をレイプするようそそのかしたと言ってるんだって?」。ハワードの質問に真剣な表情でうなずくマンソン、「ぼくらが子供たちが入った檻を客席に下ろして、観客全員で子供たちを殴り殺した、とも言われたんだ」。ロビンも思わず、驚きの声をあげています。さすがにこれは、現実的にありえないですよね。

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どうせなら、もっとマシなウソをついてほしいよね

 ここで、「それってオレの話よりまだマシだよ!」とオジーが会話に加わりました。ハワードとマンソンが「例のコウモリ事件の話か」とニヤリとしますが、どうやら別のエピソードのようです。いわく、「娘のケリーが学校から帰ってきて、『先生がパパのコンサートに行ったんだけど、パパが観客みんなにバケツの中に唾を吐かせて、それを飲んでたって』なんて言うんだ」。ひえー!! 作り話とはいえ、気持ち悪すぎです。想像しただけで鳥肌が…。びっくりして「ありえないよ、ケリー。パパはそんなことしない」と娘をなだめたというオジー。なんて優しくて、常識のあるパパでしょうか。 

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父ちゃんがそんなことするわけないだろ?

 オジーパパの言葉を聞いて、ケリーもきっと安心したにちがいありません。と思いきや! ここですかさずあの有名な事件を持ち出したハワードが、オジーに「ちなみに、コウモリの頭は噛みちぎったの?」とたずねます。オジーの答えは…

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「うん、噛んだ」

 なぜそんな質問をするのかと訝しむような表情で、コウモリの頭を噛みちぎったことは事実だとあっさり認めました。またもや、スタジオは大ウケです。ここ、おそらくオジー本人だけが、「ありえないこと」の境界線がめちゃくちゃな自分の話の面白さに気づいてません(笑)。別に笑わせようという意図がないのにきれいに話を落とすオジーと、彼の話をうまく引き出すハワード、もはや無敵のコンビですね。

 さて負けちゃいられないマンソン。さっきの「檻の子ども」話に加えて、「ぼくたちにサンタクロース軍団という特別な人たちがいて、彼らが観客に大きな袋に入ったコカインやマリファナを配ってるって噂も立てられた」というエピソードも披露します。この部分、厳密にいうと、マンソンは「特別な子分たち(ミニオンズ)」と表現しているのですが、一瞬ためらっているので、本来は「特別な小人(ミジェット)たち」と言いたかったのを、ミジェットが差別用語ということで控えたようにも見えます。

 こういうくだらない噂をでっち上げているのはいったいどういう人たちなのか?と真剣な議論が交わされる中、一言もしゃべらず、オジーと顔を見合わせて楽しそうに笑っているトゥイギーの姿をご覧ください(笑)。

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たぶん、議論に加わる気ゼロ

  トゥイギーファンの筆者としては、こういう場面でも前に出ようとしないところが、彼の凄さだなぁと感心します。普通、「自分も何か言わなくちゃ」とか思いますよね!? これが仕事の会議だったら、だいぶまわりの目が気になりそうです。そういう焦りやガツガツした感じが、トゥイギーには一切ないんですよね。とにかく、リラックスしています。気負いがない彼がいるおかげで、なんというか、場の空気がシリアスになりすぎていない気がするんですよね。まあ、これが会社だったら、「きみは、なにしに来たんだ? 意見を言いなさい、意見を!」って上司に怒られるかもしれませんが…。トゥイギー、会社員じゃなくてよかったね!

 一方、まだまだ別のエピソードを披露するマンソン。今度は、「女性のギタリストが裸で演奏してるって言われたんだ。女性のギタリストなんていないのに。たぶん…」と、チラっとトゥイギーの方に視線を向けました。すかさずハワードが、「それってきっと、トゥイギーのことだよ。だって、彼はキュートだから」。突然のハワードの言葉に、少し戸惑い気味のトゥイギーです。

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照れちゃうよ

 とはいえ、楽しそうに笑顔を浮かべただけで、ここでも一言もコメントせず。せっかく何か言うチャンスだったのに…と思ってしまいますが、おそらく、本人に目立ちたいという欲が本当にないんでしょうね(笑)。よく考えたら、ここまででトゥイギーが喋ったのは、女性にお金を取られたことがあるか聞かれた際の「ノー」の一言だけです。「ノー」一個だけを携えてここまで来たトゥイギー、やっぱりただものではありません。

 さて、ここまで紹介されたマンソンに関するありえない噂の数々について、それらがいかにバカバカしいかハワードとロビンが冗談まじりに語っていると、しばらく黙っていたオジーが、急に話し始めました。まるで昨日食べた夕食のメニューを思いだしたような軽い感じで…

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「そういえば、オレたちも小人をぶら下げてたな」

 「小人(ミジェット)をぶらさげる」という言葉がパワーワードすぎるうえ、自分の顎のあたりからぶら下げる仕草をしたため、一瞬、何を言ってるか理解できません(笑)。マンソンがわざわざ避けた「ミジェット」という単語を一ミリのためらいもなく口にしただけで面白いのに、さらに「ショーで小人をぶら下げてたら、ある日警察が来てさ…」と普通に話を続けるオジーに、ハワードとロビン、そしてマンソンとトゥイギーみんな、衝撃のあまり、しばし笑いが止まりません。

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マイクを手に、崩れ落ちるハワード

 トゥイギーにいたっては、思わずマンソンの背中をポン!と叩いています。こういうちょっとしたところに、普段からの仲の良さが垣間見えて楽しいですね。

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笑いが限界を超えたらしいトゥイギー

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超楽しそう

 顔を見合わせて笑う二人の横で、平然と話を続けるオジー。この笑いの中で普通にしていられるのが不思議でなりません。ロビンも、文字通りお腹を抱えて笑っています。

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笑いすぎて苦しいわ

 ロビンの笑い声が象徴するように、出だしだけでもう最高なエピソードですが、オジーによると次のような状況だったそうです。「ショーの一部で小人をぶら下げてたら、ある日警察がやって来てさ。”おい、オジーボーンっていうのはどいつだ?”って聞かれて、”オレだ”と答えたんだ。彼が”毎晩小人をぶら下げてるのか?”って聞くから、“ああ”と返事をしたよ。そしたら今度は、”どこで小人を手に入れたんだ!?”だってさ」。オジー、警官の対応を呆れた様子で語っていますが、オジーが小人をぶら下げていたという部分は事実であるため、聞いているこちら側としては、もはや話全体がカオスです。ハワードに「小人は首からぶら下げてるっていう噂だったんだよね?」と聞かれ、「安全用ハーネスだよ」と答えてますが、えーと、それは首からじゃないですよね…!? 噂と真実とジョークが入り混ざりすぎて、迷子になりそうです。この部分を観返せば観返すほど、自分が笑っているポイントが合ってるのかどうか、だんだん確信が持てなくなってきます(笑)。

「ロブスターみたいに水槽いっぱいに小人をストックしておけば?」とハワードがジョーク(ですよね!?)をかました後、番組は再びCMに。映画『プライヴェート・パーツ』のサウンドトラックCDの宣伝もはさみつつ、ついに、後半戦です。

 次回へ続く!

★★目次★★