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Jeordie White(a.k.a.Twiggy / Twiggy Ramirez)を知るためのブログ。時空をさかのぼって不定期更新中。May the force be with you!

「ハワード・スターン・ショー」その⑤ ぼくたちのベイビーレッグ(1997年)

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 続きです。(前回の記事はこちら→

 ここまでを振り返ると、オジーとマンソンから数々の面白い発言やエピソードが引き出された時点で、この回は、十分見ごたえがあるものとして"普通に"成立していたはずです。そして、放送を見た人々からは「ああ、あのオジーが最高に面白かった回だよね」的な感じで記憶されることになったはずです。…そう、もしトゥイギーさえいなければ!

 衝撃的なラストをすぐにでもみなさんにお伝えしたいのですが、はやる心を抑えて、まずは続きを観てみましょう。

 トゥイギーに話を振ったハワード、あらためて彼の髪型に目がとまったようで、「頭を剃ったの? すごくかっこいいね」。マンソンも、「見てよ」と指差してみんなの注目を集めています。

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全米注目のヘアスタイルがこちら

 トゥイギー、ハワードの質問を受けてなにか言いましたが、同時に話し始めたマンソンの声にかき消されてしまいました(笑)。ロビンも「大胆ね」と称賛する彼の髪型について、マンソンが「いつもカツラをかぶってると思われてるんだ」と説明してますが…え? これって、カツラですよね…? 剃り上げた部分はともかく、地毛で、こんなにボリュームと束感が出せるものなのでしょうか!? しかし、肝心のトゥイギーがなにも話さないので、真相は分からずじまいです。

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カメラもわざわざズーム

 ボリュームたっぷりの髪型に引きかえ、話はこれ以上ふくらまないと判断したのか、マンソン、今度はトゥイギーに関するある疑惑に話題を変えました。その疑惑とは、彼が「コートニー・ラヴと、長年関係を持っていたらしい」。トゥイギーが即座にマンソンに反論している声が聞こえますが、マンソンは…

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やや焦るトゥイギー

 見ての通り、実に楽しそうです。カメラには映っていませんが、横から、ゴシップに興味津々らしいオジーの「いいね、その話題!」という声も。オジー、もはやただのエロオヤジですね(笑)。

 コートニー・ラヴは、いわずとしれたホールのボーカルですね。ミュージシャンとしての才能だけでなく、歯に衣着せぬ発言とあけっぴろげな性格の持ち主としても知られていて、「この人に惹きつけられない生物なんて、地球上にいるのか?」と思ってしまうぐらいチャーミングな女性です。下の写真は、おそらく今回の番組収録と同時期に撮られたもの。

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マンソンとトゥイギーにはさまれたコートニー、ついでにR.E.M.のマイケル・スタイプ

 マリリン・マンソンとホールは、1994年のナイン・インチ・ネイルズのツアーで初めて一緒にオープニング・アクトを務めていますが、どうもその頃に、トゥイギーとコートニーの間に”なにか”があったようです(笑)。このあたりの話は、マンソンの自伝でトゥイギー自身が(彼女に配慮してか、かなり遠回しな表現で)語っているので、興味のある方は読んでみてください。

 さて、マンソンの悪だくみによりハワードに「コートニーと関係を持ったって、本当?」とたずねられたトゥイギー。「ドラッグをやってたから、誰とも関係なんて持てないよ」と否定していますが、ここまでの彼の発言の少なさを気遣ったのか、ハワードとロビンは「トゥイギーがあまり喋ってない」と引き下がりません。

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もっと彼に喋らせましょうよ

 話を促そうとするハワードを見て、マンソンがトゥイギーに「You got to nail him!」とけしかけてますが、「あいつをやっつけるんだ、トゥイギー!」みたいなニュアンスでしょうか…? ちょっと理解に自信がありません。とにもかくにも、みんながせっかく話しやすい空気を作ってくれたというのに、トゥイギーは「ノー、ノー、ノー」と、あまり話を広げる気がない様子。さらに、そのタイミングでハワードに「コートニーのことが好きだったの?」と超ストレートな質問をぶつけられて…

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「ノー!」

 声こそソフトですが、これまで主義主張というものから遠く離れたところにいたトゥイギーから、渾身の「ノー!」が飛び出しました。関係を持ったかどうかを含めて「絶対にない」と、全力で否定していますが、まあ、たぶんこの場にいる誰ひとり信じてません(笑)。

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ぼくの話を信じてよ

 とはいえ、本人にこれだけはっきり否定されたら、さすがにもう何も言えませんよね。みんなもあきらめて、別の話題に移るのか…と思いきや、ここでのハワードの判断がさすがです。というのも、これ以上トゥイギーからは何も聞き出せなさそうだと考えたのであろうハワード、彼とコートニーが関係を持ったかどうかを、トゥイギーではなくマンソンに聞いたのです。マンソンからしてみると、「待ってました!」な展開でしょうね(笑)。

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よしきた

 たっぷり間をためてから、「もしマジック・エイト・ボールを振ったら、”もちろん”って言葉が出るだろうね」と答えるマンソン。はて、マジック・エイト・ボールとは…?と思って調べたら、どうやら日本でいうおみくじ的なおもちゃのようですね。質問をしてボールを振ると、「OK」とか「たぶん」といった答えがランダムに表示されるみたいです。

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外見はビリヤードの球みたいです

 なんだかエロい目的で使われてそうな気もしますが…。それはともかく、トゥイギーとコートニーの疑惑については、本人の反論も空しく、マンソンによって「クロ」判定が出されてしまいました。ちなみに翌年コートニーもこの番組に出演してるのですが、ハワードはこの回のVTRを流しながら、「トゥイギーはきみに夢中だったよ」とさらりと言っていました(笑)。せっかく一生懸命否定したのに、結局誰にも信じてもらえなかったトゥイギー…無念!!

 さて、ハワードの質問はこれだけでは終わりません。今度は「きみのことを何も知らないんだ。ゲイなのかと思ってたんだけど。ゲイなの?」と、真顔でたずねました。

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ハワード、それは聞いちゃダメ

 これはもう、時代に関係なく、質問自体がアウトですね。答えがどうであれ、”答えなくてよい”という選択肢を与えないまま、イエスかノーかを公共の場で問いただすのは、どう考えても危険です。ただハワードの表情は真剣そのものなので、きっと、ふざけたり冗談の種にしたりするつもりはなく、あくまで議題のひとつとしてオープンに話したかったのだと思いますが、だとすると、本人の指向ではなく「ゲイの人たちについてどう考えてる?」と”意見”をたずねる、というやり方もあったはずです。

 と、ちょっと熱くなってしまった筆者ですが、トゥイギーはハワードの質問を、(コートニーに関する質問のときほどは)動揺せずに聞いています。一瞬横を向いて苦笑しつつ…

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どうしようかな?

 ペンか何かで頭をぽりぽりかきながら…

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ぽりぽり

「うん、そうだよ」と、いたずらっぽい表情で超テキトーに返しました(笑)。どっちでも好きなようにとってくれ、という発想が彼らしいですね。さらに、トゥイギーの快挙はこれだけにとどまりません。ハワードから「マリリンと関係を持ってるの?」ともう一つ質問を投げかけられて、今度は…

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「いや、実はオジーとなんだ」w

 相手はマンソンではなくオジーである、という斜め上の回答を出し、ハワードにパンチを浴びせました。トゥイギー、ようやくイタズラ好きの本領を発揮しはじめましたね(笑)。で、これで話のボールが無事にハワードに戻ると思いきや…

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「ありえないよ!」

 トゥイギーが投げたボールをキャッチして、さらに高いところに上げた人物がいました。オジーです。トゥイギーの発言を聞いたオジーが、即座に「それはない」と反応したことで、一連の話のバカバカしさに、よりいっそう磨きがかかりました! 自分で笑いをとるだけでなく、他の人の笑いの完成度までしっかり高めてくれるオジー、頼もしすぎです。

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大喜びのトゥイギー&マンソン

 ハワードはもう少し真剣な方向で同性愛について議論を深めたいようで、「マリリンがゲイじゃないのは知ってるけど…」と話を続けますが、こういう場面でやっぱり力を発揮するのがマンソンです。ハワードの意図を察し、ふざけたり茶化したりすることなく、自分の考えを述べます。

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さすがの安定感

「この手のことに関しては、ぼくたちはすごくオープンだよ。恥ずかしいことじゃないからね。一緒に楽屋にいて、サウンドチェックに6~7時間も待たされて退屈になると、ぼくらは〇〇(ピー!)にコンドームをつけて、お互いの〇〇(ピー!)を…」。なんと、この日初めての「ピー」音です。この期に及んで、この番組にも一応、放送禁止用語があったことが判明しました(笑)。おそらく、Dから始まる四文字の単語でしょうか? ハワードに「その言葉はラジオじゃ使えないんだ」とやんわり指摘されて、マンソンは素直に「ごめんなさい」と謝っていますが、ここまであんな話やこんな話がいろいろ出たせいで、観ている側としても、「え? それって言っちゃダメなの? 別にいいんじゃないの!?」と変な感覚に陥ってしまいます。まあ…ダメなんでしょうけどね! 逆に考えると、ここまで全員が放送禁止用語を使わずにこれたのが、ある意味すごいですね。

 で、せっかくマンソンが(内容はともかく)真剣に話をしている途中だったので、場合によっては少々気まずい空気になってもおかしくないところですが、ここでのハワードとロビンの対応が、すごく素敵なんですよ~。というのも、ハワードが「なにか他の言葉で言い換えられないかな」とつぶやき、その言葉を聞き逃がさなかったロビンが、絶妙なタイミングで「ベイビー・レッグ(赤ちゃん脚)っていうのはどう?」と、響きはキュートなのに一発で何のことだか分かる、超ナイスな提案をしたのです。

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いいね、それ!

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自分が出したアイディアに笑っちゃうロビン

 「ベイビー・レッグ! それで決まりだよ」と喜ぶハワードですが、ロビンのベイビー・レッグ案に、ハワード以上に大喜びしてる二人の姿をご覧ください。そうです、それはオジーとトゥイギーです。

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基本、面白いことを逃さない人たち

 すでに次の発言に頭を切り替えているマンソンの両横で、それはもう楽しそうに笑っています(笑)。ベイビー・レッグの衝撃が大きすぎて、マンソンが丁寧に説明した「ぼくたちは、お互いにフェラチオしているよ」という発言が、かすんでしまいました。というか、アレはダメなのに、フェラチオは大丈夫なんですね。そもそも放送禁止用語って、いったい何でしたっけ? なんだか、よく分からなくなってきましたが、これ、もう少し番組に残り時間があれば、ハワードがもっと大きく膨らませてくれた気がしますよね。あ、話を…ですよ!? 

 しかし、残念ながら終了時間が来てしまった模様。ハワード、大急ぎで「みんな、またいつか会おうね」と、やや遠回しな表現で時間の終わりを告げました。日本で言うと、「お開き」的なニュアンスなのでしょうか。さっきまで過激な発言を飛ばしていた人間とは思えないさりげない配慮に、ハワードの優しさが垣間見えるようですね。ただしオジーひとりだけ、状況がいまいち分からなかったのか「また会うの?」と聞き返していますが…(笑)。

 というわけで、スタジオでの収録は終わってしまいました。普通、ここでもう終わったと思いますよね、みなさん!? 筆者は思いました。

 しかし…終わらないんですよ…! もうひとくだり、あるんです。ゲストの三人がすでにスタジオから去ったというのに、いったい何が起きたのでしょうか。続きは次回! いよいよ最終回です。

★★目次★★