鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのは誰?…という声が聞こえてきそうなピンナップ風のカバー写真。これまでにトゥイギーが単独で表紙を飾った雑誌二誌のうちのひとつが、1998年に発行されたこの「Seconds Magazine」第48号です。(もうひとつの「Guitar World」1998年11月号についてはこちらで記事にしました)。
「Seconds Magazine」は1986年から2000年までニューヨークで発行されていた音楽雑誌。創刊者が80年代のパンクシーンを追ったノンフィクション『American Hardcore』の著者スティーブン・ブラッシュということで、文字通りかなりハードコアな内容だったようです。第40号はマンソンが表紙を飾っています。
トゥイギーのファンとしては当然持っておきたい一冊ですが、探せど探せど、どこにも見つかりません(涙)。頼みの綱の海外オークションサイトにも、少なくともここ数年は出品されている気配すらないという、まさに幻の一品です。廃刊から20年以上たっているにもかかわらず公式サイトが存在していたので問い合わせてみましたが、今のところ反応はなく…。同サイトでバックナンバーが「在庫あり」となっているので、ひょっとしてスティーブンの家のどこかに在庫が眠ってるんじゃないかとにらんでいるのですがどうでしょうか。
返信を気長に待ちつつ、このまま入手できない可能性を考え、複数の情報で確認をとった上で、ファンの方がアーカイブしているこちらの記事を翻訳しました。ちなみにインタビュアーのボイド・ライスは、「NON」名義で70年代から活動するノイズ・ミュージシャンです。
【2022.04.18追記】その後、なんとスティーブン本人から返信があり、「倉庫を探したら在庫が見つかった」とのことでバックナンバーを入手することができました。誌面の写真を2点追加し、記事に一部変更を加えました。
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トゥイギー・ラミレス
インタビュー:ボイド・ライス 写真:Wendy Idele
マリリン・マンソンたちを最後に見たのはブリット・ポップのバンド、ブラーがサンセット・ハイアットの屋上で開いたパーティでのこと。マンソンは映画『リバース・エッジ』についてクリスピン・グローヴァーに尋ね、トゥイギーは女の子に囲まれてプールサイドに座っている。傍らに立つ元ティーン・アイドルのレイフ・ギャレットは、まるでハリウッドのヘルズ・エンジェルスのリーダーのようだ。豪華ゲストが参加しているにもかかわらず、パーティは退屈だった。あのイギリス人たちはパーティのやり方が全然分かってない。そう思った我々は、さっさとマンソンの部屋に逃げ込むことにした。かつてはロック界の名物ホテルとして知られた、サンセット大通りのハイアット。レッド・ツェッペリンがバルコニーからテレビを放り投げたのは、このホテルだ。エルヴィスやボウイも宿泊した。そして今、ここを自宅としているのがマリリン・マンソンのメンバーである。部屋の壁には水槽が埋め込まれていて、なかなかゴージャスな雰囲気だ――もし死んだ魚が一匹、腹を見せて浮いていなければ。普通ならホテルのマネージャーに文句を言うところだが、マンソンは死骸の存在を面白がっているようだった。彼らはこの時、マンソンが言うところの「シャロン・テートが住んでいたような」ハリウッドヒルズの家に引っ越し中だったのである。
部屋には、ほとんど何も置かれていない。グロテスクなマネキンが一体あったが、これはファンから贈られたもので、マンソンを模したペイントがほどこされている。取り巻き一行がフェリーニ映画さながらの様相でマンソンたちと場所を奪い合っているため、その異様なマネキンすらかすんで見える。おかしなオーディション会場にいるような気分だ。彼らがまるで、マンソンたちが製作・出演する現在進行形のドラマの役を手に入れようとしているような錯覚に陥ってしまう。
部屋には不思議な空気が流れていた。空想と現実が交錯して、みんな現実の人間なのに、フィクションの世界から抜け出た登場人物のようだ。思うに、影響力を持ち続けるバンドというのは、アマルガム・コミックスに出てくるキャラクターに似ている。強烈な個性を持つ人間が集まっているのだ。たとえばヴェルヴェット・アンダーグラウンドやストーンズ、ニューヨーク・ドールズ、ビートルズ、それからモンキーズ。いずれも中心にいるのはボーカルだが、他のメンバーが重要な役割を担っているバンドである。マリリン・マンソンも例外ではない。ボーカルのマンソンはその発言を含めて世に知れ渡っているし、自伝まで書いた。が、共謀者である他のメンバーは? ほぼ完全に沈黙を貫く彼らの存在は、謎に包まれている。世間から容赦ない視線を浴びせられているのに、なぜトゥイギー・ラミレスやマドンナ・ウェイン・ゲイシー(ポゴ)は、ここまで影の薄い存在でいられるのだろうか? 実は彼ら、公の場でこそ無口だが、プライベートでは一晩中喋り続けることができるタイプの人間なのだ。そして頭がいい。バンドを体現するため、自分たちの態度やビジョンについて考え抜いてきた賢い男たちなのだ。
これまで我々はトゥイギーに関し、表面的なことしか知らなかった――どこか優しそうでいて、邪悪な雰囲気。その姿はまるでホラー小説に登場する、夜な夜な蘇っては郊外の一家を惨殺する陶器人形のようだ。そして、矛盾そのものに思える外見。長い黒髪とショート丈のベビードールが、セクシュアリティの曖昧さを語っている。といってもバンドの女性ファンからしてみれば、彼のセクシュアリティは一目瞭然なのだが。ジム・モリソンが30年前に歌ったように、「小さな女の子たちは分かってくれる」というわけだ。
マリリン・マンソンのメンバーとして、ビジュアル的にも音楽的にも強い存在感を放つトゥイギー・ラミレス。ステージ内外で好き放題ふざけては好奇の目で見られてきた彼が、今回初めて、ロングインタビューに応じてくれることになった。新作アルバム『Mechanical Animals』やハリウッド生活、そしてもちろんゴシップ、ドラッグ、セックスについても語ってくれた。
Seconds(以下略)――“もうひとりのツイッギー”との出会いと関係について教えてください。
ラミレス(以下R):60年代に活躍したピーター&ゴードンのピーター・アッシャーは知ってる? デイヴィッド・レターマンの番組のバックステージで彼の奥さんに会ったんだ。レターマンと友達か何かだったらしくて、娘さんがマリリン・マンソンを好きだってことで来てたんだよ。彼女は本物のツイッギーと知り合いで、今ロスの自宅にツイッギーを泊めてるって言うんだ。思わず「ぼくもロスで遊ぶのが好きなんです」って反応したら、彼女が「あなたたち、一緒に過ごすべきだわ」って言ってくれてね。それで実現したんだ。自分の名前の由来になった人に会えるなんて、すごく素敵だったよ。マリリン・マンソンのアルバムを制作中だったんだけど、二、三日ひとりでいる時間があったから、彼女に「何か歌わない?」って声をかけたんだ。ダスティ・スプリングフィールドが好きだっていうから、大急ぎで『I Only Want To Be With You』の別バージョンの音源を作って、歌ってもらったよ。ベイ・シティ・ローラーズもこの曲をカバーしてるんだよね。ぼくがやってるのを見て、スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンは「それ、他の人もカバーしてるけど知らないの?」って言ってたけど。ぼくにとっては彼女の声をテープに録ること、そしてそのバックでぼくが演奏してるってことが重要だったんだ。ツイッギーが60年代にどれほど大きな存在だったかは、意識しないようにしてた。マーチャンダイズ展開の元祖といえば、やっぱりビートルズとツイッギーだよね。大量にグッズが発売された最初のポップスターの一人だと思うよ。
――弁当箱まであったよね!
R:ぼくはその手のグッズを山ほど持ってたんだけど、彼女は「自分では何も持ってない」って言うんだ。どうせツアーに出たらみんなにぶっ壊されちゃうから、全部、彼女にあげたよ。
――名前の由来になったもう一人の人物、リチャード・ラミレスと共演する予定は?
R:実現したらかなり面白いだろうね。実はツイッギーとの『I Only Want~』で、マリリン・マンソンのデビューアルバムをサンプリングしてるんだ。リチャード・ラミレスの話し声が入っててさ。だからあの曲には、リチャード・ラミレスも登場してるんだよ。彼女には言ってないけどね(笑)。
――由来になった人物の両方と共演できるのは、きみだけだよね。アルバート・フィッシュやマリリン・モンローは死んだし、ジョン・ウェイン・ゲイシーも死んだ…。
R:それに、マドンナは最低だしね。実は、リチャード・ラミレスと何かやるのはそんなに難しいことじゃないんだ。電話でなら実現できるかも。リック・ルービンも、スタジオに立ち寄った時にあなたと同じようなことを言ってたよ。彼の話じゃ、バッド・ブレインズは獄中にいたボーカルの声を電話越しに録って、レコードを作ったんだって。
――前に会ったとき、マリリンは新しい家の話をしていたね。今もそこに住んでいるのかい?
R:作曲とレコーディングのために、ある家を一年間借りてたんだ。カリフォルニアに引っ越して、ハリウッドっぽいレコードを作りたかったんだよね。環境を変えて、元有名人と知り合おうと目論んだ結果、70年代のアイコンたちといっぱい友達になれたよ。子どもの頃によく目にしていた人たちだ。彼らはぼくたちの家に来て、カラオケやドラッグをやってたよ。一度手にした名声を失った経験を持つ人たちと付き合うのは、すごく刺激的だったね。
――前に会ったとき、きみはレイフ・ギャレットと一緒だったけど…。
R:名前は出したくないな。
――あのパーティの数週間後、ロバート・ダウニー・Jrがコカインをやりすぎてレイフ・ギャレットのホテルのスイートルームにたどり着いたって記事を「ナショナル・エンクワイアラー」誌で読んだよ。
R:よくある話さ。ここハリウッドじゃ、そういうおかしなことが自分の身に起きるんだ。
――マリリン・マンソンの新しいアルバムについて教えて。
R:『Mechanical Animals』だね。
――気に入ってる?
R:前作では、アルバム全体がひとつの感情になってたと思う。つまり、すごく怒ってるんだ。でも今回のアルバムにはグラマラスな面もあれば、人間的な面もあるよ。サウンド的には、人間が演奏した音と機械で出した音とがうまくミックスされてるんだ。
――『Antichrist Superstar』の時は死にそうになったと言ってたけど、今回のほうが楽だった?
R:前回とは違ってたね。ドラッグもそうだしそれ以外のことに関してもそうだけど、前回アルバムを作ってツアーに出た時は、“アート”――別に好きなように呼んでくれていいよ――のために、自分の幸せを犠牲にしてた。だけど、そうする必要はないってことに気づいたんだ。ぼくは正直じゃなかったと思う。といっても、今回のアルバムで正直になってるわけじゃないけどね。前回ほどつらくなかったし、今回のほうがはるかに楽しかったよ。歌詞の一部は、前作よりさらにダークになってるけど。
――子供の頃、音楽のレッスンは受けていた? それとも、バンド活動をやろうと思ってから楽器を弾けるようになったの?
R:もともと音楽に親しんで育ったんだけど、14歳の時に母がギターを買ってくれたんだ。レッスンを受けたことはなくて、ただ自分の好きな曲をコピーしてたよ。今じゃ、好きだった曲をパクってるけどね(笑)。
――初めて買ったアルバムは?
R:たぶん、KISSのレコードかな。後期の、『Dynasty(邦題:地獄からの脱出)』あたりだよ。
――多くの人に受け入れられたことで、マリリン・マンソンがやってることがメインストリームになったと思う? あるいは、メインストリームという概念を変えようとしているとか。
R:以前はぼくたちのことを知ってる人なんて誰もいなかったから、ミュージシャンとして孤立してるような気がしてたんだ。間違ったことをやってるって世間から思われてた。今はみんなに知られてるから、自分たちが正しいことしかやってないように感じてしまうよ。別の意味で、孤独を感じてるんだ。
――世界中で、きみにそっくりの格好をしている人たちを見かけたよ。髪型を真似したり眉を剃り落としてるだけじゃなく、わざわざ同じ服まで作ってるんだ。そういうのって怖い? それとも嬉しい?
R:もちろん嬉しいに決まってるよ。ぼくたちはそのイメージを壊さないようにしつつ、少し変化していかなくちゃいけないね。
――最近楽しいことは?
R:レイフやコリー・フェルドマンとカラオケをすること。楽しいんだ。
――ドラッグと女の子、好きなのはどっち?
R:すごく好きになった女の子がいても、ドラッグをやって興味がなくなってしまうことがある。あるいはドラッグのせいで、普段はしないようなことを女の子とやってしまうこともあるよ。ツアー中は誰であれ、ぼくが“犠牲にしようとしている”女の子たちに対して、ぼくは素晴らしい人間だと思い込ませようとしちゃうんだ。すぐにいなくなってしまうから、実際のぼくがどうかなんて関係ないんだよ。だけど同じ場所にずっといると、そういうことはできないんだ。だって、女の子たちに見抜かれちゃうからね。その子が単にバンドをやってる人間と一緒に寝たいってだけなら、別に問題ないんだけど…。
――「犠牲にする」とは面白い表現だね。だって、マンソンは『ポリティカリー・インコレクト』の番組内で、「セックスの欠如は暴力につながる」と語っていたから。コカインのことを「インポテンツ・ドラッグ」とも言っていたよ。きみたちはセックスとコカインを好んでるようだけど、女性に対して退廃的な行為をはたらくのはそれが原因?
R:コカインはいい避妊法だと思うよ。普段ならやらない、汚らわしいことをやるようになるんだ。人間はひとつできないことがあると、別のことをするようになるのさ。
――今、何のフェチ?
R:何週間か前に、ケタミンを知ったんだ。動物用の精神安定剤だよ。キース・ムーンが使ってステージ上で気絶したっていう有名な話もあるから、目新しいものじゃないんだけどね。アシッドに似てて、すごく変な感じなんだ。ついこの間も、自分の部屋が縮んでるのかと思って、デイヴ・ナヴァロに迎えに来てもらったんだよ。彼の家に行ってバルコニーに出たら、外はまるで映画『フラッシュ・ゴードン』の世界だったよ。すごく怖かったけど、この数週間はずっと幸せな気持ちなんだ。ケタミンのせいで、どこかのネジがゆるんだんだと思う。
――自宅が火事になって、なにかひとつだけ持ち出せるとしたら、何を選ぶ?
R:たぶんパソコンかな。買ったばかりだから。小型のノートパソコンなんだけど、5,000ドル以上もしたんだ。
――気に食わないことは何?
R:ぼくがむかついたり落ち込んだりするのは、たいていなんでもないことが原因なんだ。腹が立つのは、なんでいつも自分がそんなにイライラしてるのか、自分では分からないってことだよ。
――きみにとって、成功の一番の醍醐味は?
R:女の子とお金とドラッグだね。結局、自由ってことかな。お金があれば、やりたいことをやる自由が手に入るよね。
――では、いちばん嫌なことは?
R:それも、自由であることかな。なにかやることを見つけなくちゃいけないから。何もしないんだけど、かといって何かする時間もないのさ。だからドラッグに頼っちゃうんだよね。
――きみはとても個性的なルックスだから、マリリン・マンソンを知る人がいない場所でも、いつも注目を集めてるんじゃないかな。それって気になる?
R:そういうのを気にせずにいられる場所で過ごすようにしてるよ。ツアー中はいつも、みんなに気づかれちゃうけどね。ツアーが終わった後もまだ、みんなに見られているような態度をとってしまうんだ。実際は、見られてなくてもね。
――ハリウッドだと、状況はちょっと違うんだろうね。
R:そうだね。この間の夜、スコット・バイオと、それからアイアン・メイデンのあるメンバーと一緒に出かけたんだ。同じ日にだよ。映画業界の人間がロック界の人間と、そしてロック界の人間は映画業界の人間と付き合いたがるのは、おかしな話だね。ぼくはずっとバンドをやってる人たちを尊敬してたんだけど、今はもう尊敬できる人がいないよ。夢中になったバンド以上のことを、自分がやってるからね。
――セックスに関する質問をもうひとつ。生死を問わず、全盛期の誰かと寝られるとしたら誰がいい?
R:『ティファニーで朝食を』の女の子って誰だったっけ? オードリー・ヘップバーンだ。この間映画を観てて、「うわ、この頃の彼女ってセクシーだな」って思ったんだ。彼女か、『ディック・ヴァン・ダイク・ショー』に出ていた頃のメアリー・タイラー・ムーアかな。そういうわけで最近は、『ニック・アット・ナイト』を観ているよ。
――きみたちに関する噂をいろいろ耳にするけど、最近何かすごいことはあった?
R:あまりないね。ギタリストはいなくなっちゃったけど。
――え? 誰のこと?
R:ジミー(Zim Zum)だよ。演奏できなくなっちゃったんだ。出回ってる噂は、本当なのさ。
――それっていつの話なの?
R:ニ、三ヶ月前だよ。あまりスタジオに顔を出さなくなっちゃって、リハーサルに来ても、ぼくたちと一緒にいるだけでしんどそうだったんだ。今、彼はまわりに自分は脱退したと言ってるけど、だとしたら、かなり愚かな判断だと思う。個人的には、彼はバンドを去ったメンバーの中で唯一、ぼくが本当に好きだった人なんだ。
――後任は見つかった?
R:ジョンっていう人とツアーを回る予定だよ。
――それが彼の名前?
R:正確には、ジョン5っていうんだ。映画『ショート・サーキット』のロボットがジョニー5っていう名前だったことからきてるのかもね。彼はぼくたちのバンドに参加した、5人目の人間なんだよ。
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以上です。本誌には掲載されていませんでしたが、同じ時に撮影された別の画像を見つけました。
コルセットっぽいドレスが似合ってますね! それにしてもこの写真といい表紙といい、トゥイギーファンにはトゥイギーにしか見えませんが、彼のことを知らなければ、普通に女の子だと勘違いする人もいるのでは?
さて、かなり女の子度高めの見た目に反して、インタビュアーも「彼のセクシュアリティは一目瞭然」と書いている通り、ザ・男!な内容になっている今回のインタビュー。一言でいうと、だいぶ調子に乗っていますね(笑)。女遊びはともかく、「自分が彼ら以上のことをやってるから、もう尊敬できるバンドはいない」なんて、ノエル・ギャラガーもびっくりのビッグマウスっぷりです。
本家ツイッギーとの共演やケタミンの魅力については、「Guitar World」のインタビューでも詳しく語っているので、ぜひあわせて読んでみてください。キース・ムーンのくだりから想像するに、順番的には「Guitar World」のインタビューの後に、今回のインタビューが行われたのではないかと思われます(Guitar Worldのインタビュアーに、キース・ムーンが使ったのが動物用の精神安定剤だったと教えてもらっているので)。
本題からは少々それますが、筆者がいちばん驚いたのは「獄中から電話越しにボーカルを録音した」というバッド・ブレインズのエピソード。調べたところ、どうやら1986年発表のアルバム『I Against I』に収録された『Sacred Love』という曲のようです。
音源を聴くと、一発で電話越しと分かる声です。こちらの記事によると、レコーディング中にボーカルのH.R.がマリファナ密売容疑で捕まってしまったため、更生施設の電話を使って「周囲の雑音が入らないように電話のマウスピースを外し、その中に向かって歌った」そうですが、いったいどうやって演奏と合わせたのでしょうか!? それにしても、曲がめちゃくちゃかっこいい!
トゥイギーの話に戻ります。基本調子に乗りつつも、随所に頭の良さと正直さ、そして繊細さが見え隠れするのがやはり、彼の面白さであり魅力だと思います。「一時的な関係だと相手に見抜かれずにすむから、自分をよく見せようとしてしまう」というのは、けっこう誰もがやってしまう(が、自分ではあまり認めたくない)行動なのではないでしょうか。
Zim Zum脱退については、前述のGuitar Worldインタビューでも「話したくない」「バカげてる」とトゥイギーにはめずらしくちょっと怒ってるっぽかったので何が起きたのかと思っていたのですが、実は彼のことが大好きだったんですね。
まあ、それにしても60~80年代カルチャーへの造詣の深さと人脈の広さがハンパないですね! みんなで自宅でカラオケを楽しんでいる様子、時代が今だったらきっと動画をSNSにアップしてくれていただろうに…と一瞬思いましたが、たぶんドラッグも一緒にやっていたでしょうから、時代がいつだろうとダメだったでしょうね(笑)。
ツイッギー(本家)といいオードリーといい、中性的な美しさを持つ女性が本当に好きなんだなというのも印象的でした。彼女たちのファンはどちらかというと女性が多いイメージがありますが、そのあたりの好みも含め、彼がトゥイギーというキャラクターをどのように形成していったのかが垣間見える気がしますね。
というわけで、調子に乗ってるトゥイギーと次々に登場するスターの名前が楽しい「Seconds Magazine」でした!
★★目次★★