続きです。(前回の記事はこちら)
マイクを嗅いですっかりいい気分になったらしいジョーディ。何の話をしてたっけ? と律儀に質問に戻ろうとしますが、女性MCもさすがにこの流れでは無理と判断したのか、「次の質問にうつりましょう」と笑っています。
ここまで数々の難問&奇問を繰り出してきた彼女、今度は「バンドにとって、ユーモアはどんな役割を持ってる?」。おお、シンプルでいい質問ですね! ジョシュもジョーディもこれなら答えやすいと思ったのか、二人ほぼ同時にしゃべり始めました。
まずはジョシュ。「ユーモアの役割はすごく大きいよ。ぼくたちはおバカの集まりさ。音楽はふざけてないけど」。ジョーディも、「楽しむんだ。自分のことでもなんでも、まじめに考えすぎないことだよ」とうなずきます。
しかし二人の回答に対して女性MC、「APCのメンバーがまじめだったら、何かリスクでもあるの?」とまた絶妙に面倒くさい質問をしました。一瞬考えてから、ジョシュが「たまにね」と返しますが、なぜか全員沈黙。ジョシュ、けっこうウィットに富んだ回答をしているはずなのに、なぜこうもスルーされてしまうんでしょうね!?
あまりの反応のなさに、「いまの答え、良くなかった?」と自分で笑ってしまうジョシュ。その姿が面白かったのか、それともユーモアについての話なのにユーモアが通じない状況自体が面白くなってしまったのか、ジョーディは、「そうさ」と何に対する同意なのか、もはやよく分からない返事をしました。
ここの流れ、妙な間が笑えて筆者は大好きなのですが、まあ、観る人によってはグダグダでしょうね(笑)。もしかしてこの二人はインタビューが苦手なのか?と、少し心配になってしまいそうです。まさにそう感じたらしい女性MC、おそろしいことに彼らに「インタビューって楽しい?」とたずねました。なんというストレートな質問でしょうか。インタビューされている最中にそんなことを聞かれたら、筆者だったら動揺のあまり倒れてしまいそうです。
しかしここでジョシュ、「たまにね」と、果敢にもさっき大外しした球をもう一度投げました! ジョーディもジョシュに合わせて、「そうさ」。言いながら笑っちゃってますが、まるで餅つきでもしているかのように見事な阿吽の呼吸です。このやりとりを予想していたかのように、カメラが完璧なタイミングで二人を追いかけているのがまた笑えます。
姿こそ見えないものの、確実に彼らのユーモアを理解してるっぽいカメラマンとは違って、ますます不安になってしまった様子の女性MC。「これじゃ(イエスかノーかの)一言インタビューだわ」と嘆きますが、それを聞いたジョーディ、
彼女のマイクを握りしめて力強く言い放ち、「イエスかノーかの質問にして」と悪ノリしはじめました。ためらう女性MCに、「じゃあ、“本当かウソか”は? 複数選択でもいいよ」。世の中にインタビューは数あれど、質問をクイズ形式にしてくれと答える側がリクエストするというのは、なかなかないでしょう(笑)。さらにその様子を見ていたジョシュが左手でジョーディをトントンと叩きます。
なにを言うのかと思いきや、「ハリー・ケリーのあれ、やってよ」。謎の発言です。即座にジョーディが「ノー!」と変な顔&変な声で答え、それを見たジョシュが大笑いしています。二人からの説明が一切ないので分かりづらいのですが、おそらくジョーディ、こちらのインタビューでも当時ハマっていたと語っている、人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に登場するキャラクター、“ウィル・フェレルがモノマネする野球実況者ハリー・ケリー”のモノマネをしています。
つまり、モノマネのモノマネという難易度の高い芸に挑んでいるわけですが、似ているのかどうか、ここでちょっとオリジナル(のモノマネ)を見てみましょう。
こちらが、ウィル・フェレル版のハリー・ケリーです。
どうでしょうか。ちょっと似てるような気がしませんか!?
上の動画でも「イエスかノーか」という質問が出ていることから想像するに(2:08のあたり)、ジョーディと女性MCのやり取りを見たジョシュがハリー・ケリーを連想し、普段からハリー・ケリーのモノマネをやっていたジョーディに「あれ、やれば?」とリクエストしたのではないかと思われます。が、はたしてスタジオで元ネタに気づいた人はいたのでしょうか(笑)。
二人の意味不明なやりとりに困惑しつつも、場をまとめようとするけなげな女性MC。そこに、横から邪魔が入りました。ジョーディです! 彼女のマイクをつかんで自分のほうに引き寄せると…
なんと、逆に女性MCに質問をし始めました(笑)。ところがその質問というのが、「もし月がスペアリブでできていたら、食べる?」。横からジョシュが「バーベキューのスペアリブね」と補足してますが、完全に意味不明です。彼女に「ベジタリアンだから食べないわ」と返されてしまい、ちょっと苦笑気味のジョーディ。
しかし今度は、「じゃあ、チーズだったら?」。
ジョーディの質問に、「チーズの種類によるわね」と女性MCが正直に答えます。こんな質問をされて、まともに返しているのがある意味すごいですね。さらに質問が止まらないジョーディ、今度は「狂牛病にかかるのと仕事で一番になるの、選ぶならどっち?」。もうめちゃくちゃです! 彼女も「それって質問なの?」と戸惑っていますが、これも実は全部ハリー・ケリーのあるコントの中の台詞でした。…ということに、筆者は最近ようやく気づきました。
こちらがその動画。「もし月がバーベキュー・スペアリブでできていたら食べるかね?」「狂牛病にかかるのと専門分野で一番になるの、選ぶならどちらだい?」など、ウィル・フェレル演じるハリーがひたすら意味のない質問をしていて実に楽しいので、ものすごくヒマな方はぜひチェックしてみてください。
さて、当然ながらジョーディの質問の意味が理解できない様子の女性MC。それでも「もちろん仕事で一番になる方を選ぶわ」と答えて、二人への質問はいったん終了しました。よく見ると、ジョーディはまだ一人でハリーのモノマネをしていますが、もはやジョシュにすら気づかれてないっぽいので、われわれも頭を切り替えて、次に進むことにしましょう(笑)。
女性MCの説明によると、この番組には視聴者によるミュージックビデオの人気投票があるようです。画面の左下に、リンプ・ビズキット『Eat You Alive』、メタリカ『Frantic』、そしてKORN『Did My Time』と三つのタイトルが表示されました。ハリー・ケリーのモノマネ続行中につき変な顔をしているジョーディ、まるでこのラインナップに異議があるかのような感じになっちゃってます。タイミング悪し!
しかし、そもそも誰にも気づかれていないので、無問題でした。ここに出てきた三組いずれも、ファンを怒らせると超怖そうですから、ジョーディ、気づかれなくて本当に良かったですね! そう安心したのもつかの間、画面に映らないところにある投票結果を見たらしいジョシュが、
と、キワキワのジョークをかましました。さきほども言った通り、ここに出てきた三組のいずれも、ファンを怒らせると超怖そうですから、なかなか危険な綱渡りです。場合によっては、暴動が起きてもおかしくありません。しかし、そもそもジョシュは発言がスルーされる天才なので、無問題でした。発言が誰にも拾われなくて、ジョシュ、本当に良かったですね!
とはいえ、ジョーディはなんらかの危険を感じ取ったのか…
“無難な答え”界でも最高レベルに位置するであろう無難なコメントをしました。いい判断ですね! このコメントなら誰も傷つけないし、間違ってファンの暴動が起きることもないでしょう。しかし、女性MCに「全部好きってこと?」と聞かれ…
正直に、黙り込むジョーディ(笑)。何か言おうとしますが言葉が出てこないのか、口を開けたまま固まっています。さらにその横で、「なんか、照明が熱いんだけど」と額の汗をぬぐうような仕草をして慌てるジョシュ。
おそらくユーモアもこめたのであろうジョシュの発言をしっかり言葉通りに受け取った女性MC、「いったん休憩に入るから、クールダウンしてね」と優しく声をかけました。その間、カメラは…
これ以上ないタイミングで、フリーズするジョーディをわざわざアップで映しました(笑)。このカメラマン、完全に確信犯ですね! 画面から、「やばい」というジョーディの心の声が聞こえてきそうです。観客から拍手が起こり、いったん番組が休憩(おそらくCM?)に入る中、打ちひしがれている様子の二人の姿をご覧ください。
ハリー・ケリーのモノマネであんなに楽しそうだった二人とは思えないほど、冴えない表情です。ビデオのくだりでうまく返せなかったと感じてしまったのか、それとも自分たちのユーモアを素敵な笑顔で殺しにかかる女性MCの鉄壁のガードの前に崩れ落ちてしまったのか…(笑)。
彼らの心の内は分かりませんが、少なくともファン(と、姿の見えないカメラマン)にとっては、なんとも楽しい前半戦でした。相手に伝わるか伝わらないかなんてことにとらわれることなく、一分一秒もぬかりなくふざけつづけた二人に拍手を送りつつ、次回はいよいよ他のメンバーも登場です!
③へ続く。
★★目次★★