バッグの中身を教えて!…といっても、雑誌で見かける「今日は私がいつもバッグに入れてるコスメやポーチを公開しちゃうよ☆」なアレではありません(ジョーディのメイク道具は一度見てみたい気もしますが)。
独立系レコードチェーンAmoeba Musicが送る「What's In My Bag?」。毎回さまざまなアーティストをゲストに迎え、お買い物中に見つけたものを教えてもらうという人気シリーズに、ジョーディが登場。ハリウッドにある店舗の一角で、楽しそうにレコードを紹介していました。どうやら気になったものだけではなく、すでに持っているお気に入りのレコードもまざっている様子です。
それでは、見ていきましょう。
まずはジョーディの紹介から。司会者に「マリリン・マンソンやア・パーフェクト・サークルの…」とバンド名を挙げられて、さりげなく「たまにナイン・インチ・ネイルズもね」と付け加えるジョーディ。律儀ですね。
1. The Who - Quadrophenia
1枚目は、「恥ずかしいんだけど、お母さんがいつもザ・フーを聴いていたからハマったんだ」というザ・フーの「Quadrophenia(邦題:四重人格)」。最近観た映画も気に入ったよ、と言っているのは、このレコードをもとに作られた『さらば青春の光』(1973)のことですね。
ジョーディと司会者が「きみもこのレコード好きだよね?」「大好きだよ」と親しげにやりとりしているので、二人はもともと知り合いなのか…?と思って司会者の名前を検索したら、なんと、2010年から2014年までマリリン・マンソンのベーシストを務めていたフレッドではありませんか。素顔だから全然分からなかったよ! 知り合いも何も、この時同じバンドで一緒に活動している二人なのでした。Goon Moonのサポートも務めていたみたいですね。
2. Stars of the Lid - The Tired Sounds of Stars of the Lid
次に手にとったのは、Stars of the Lid の「The Tired Sounds of Stars of the Lid」。「他のレコードほどじゃないけど、大好きだ。眠るのにもぴったりだよ」。調べたところ、トータル再生時間が2時間を越える3枚組のアンビエント・アルバムのようです。
この部分、筆者の英語力があやしくてどうもスッキリ理解ができないのですが、ジョーディは「眠るためにわざわざこれを手に入れるのは無意味だよ。だって、ディスクを変えるにはずっと起きてなくちゃいけないからね。裏返すと、3枚組だから6回ってことだよね?」と言っているのでしょうか…? いや、それならフルで聴かずに途中で眠ればいいんじゃ…(笑)? その後「It's a lot of people, it's a lot of work, so...」と続けているのも、残念ながら筆者の英語力ではいまいち理解しきれず。
「みんなそんなヒマじゃないしね!」的なニュアンス?
3. Venom - Welcome to Hell
出ました、ヴェノム! 他のところでも、ジョーディが大きな影響を受けたと語っている元祖ブラックメタルのスリーピース・バンドです(正確には、この次のアルバム「Black Metal」からブラックメタルというジャンルが誕生)。
「このレコードが欲しくなる全ての理由が、ここに書いてあるよ」と、ジャケット裏面の文字が映るようにカメラに寄るジョーディ。
実は筆者もこのレコードを持ってるんですが、まあ、見てください。
クロノス:ブルドーザーベース&ボーカル
マンタス:チェーンソーギター&ダイブ
アバドン:ドラム&核弾頭
おバカですね(笑)。たしかに、これだけで心を持っていかれます。ちなみにこのメンバー紹介の下には、「このレコードに傷や歪み、汚損があった場合は、捨てて新しいものを買ってください」と書いてあります。ジョーディも保証している通り、「Welcome to Hellは間違いない!」です。
4. Alain Goraguer - La Planete Sauvage
4枚目は、1973年に公開された長編アニメーション『ファンタスティック・プラネット』のサウンドトラック盤。この映画、独特な魅力からコアなファンが多く、日本でも2021年にリバイバル上映されていました。フランス語の原題を読み始めたはいいが「SAUVAGE」の発音が分からず、適当にごまかすジョーディ(笑)。
おそらく普通の人にとってはトラウマ級の衝撃を受けるダークな内容なのですが、ジョーディいわく「どんなサントラだったか覚えていないけどこの映画は大好きで、観るとリラックスできるんだ。だからきっと音楽も変だと思って」。さすがですね。
5. W.A.S.P. - Animal (F**k Like A Beast)
5枚目はW.A.S.P. の「Animal (F**k Like A Beast)」。こりゃまた、すごいジャケットですね! 股間からノコギリ出てますけど…。このレコードにはいろいろと思い出があるらしいジョーディ。「よく冗談で言っていたんだけど、この作品はぼくたちーーつまりぼくとマリリン・マンソンに影響を与えたんだ。なぜかというと、ちょっと馬鹿げていて、ホラー・ロックみたいだから」と、ここでもジャケット裏面をカメラに見せるジョーディ。
さらに、「ぼくたちはいつもナイン・インチ・ネイルズをからかってたんだ。彼らが "fuck you like an animal "のアイデアを思いついたのは、この"fuck like a beast "からだってね」。これは、ナイン・インチ・ネイルズの「Closer」の歌詞のことですね。まさにこの曲が収録されているアルバム「The Downward Spiral」がリリースされた1994年、マリリン・マンソンはオープニングアクトとしてナイン・インチ・ネイルズと一緒にツアーを回っていますから、からかう機会はたくさんあったにちがいありません。
話を続けるジョーディ。「ギターのクリス・ホルムズは――"The Decline of Western Civilization Part II"を観たことがある人なら分かると思うんだけど、彼がプールにいる素晴らしいシーンがあるんだ。プールサイドには彼の母親がいて、クリスはウォッカを2~3本くらい一気に飲み干していて…。すごく不穏で悲しくて、そして面白いんだ」。この作品、日本では『ザ・メタルイヤーズ』というタイトルで公開されたドキュメンタリー映画みたいです。
お酒に溺れる理由を語るクリスの姿に、彼なりにいろいろ思うところがあったのでしょうか。
長くなりそうなので、いったん区切ります。→後半へつづく
★★目次★★