トゥイギーがメタリカのオーディションを受けていた! その時の映像が入っているらしい…ということで、さっそく観てみました。2004年公開のドキュメンタリー映画「Metallica: Some Kind of Monster」(邦題「メタリカ:真実の瞬間」)。※上の予告編にはトゥイギーが映っているシーンはありません
残念ながらメタリカについての知識がほぼゼロの筆者(メタリカファンの方、すみません)。いわゆるライブ映像ではなく新作アルバムを完成させるまでのドキュメント、しかも140分の長尺ということで、果たして最後まで振り落とされずについていけるのか…と少々不安を抱えて観始めたのですが、心配無用でした。めちゃくちゃ面白かったです! 140分中120分はメンバーが悩んでいる…というかそもそもメンバーの一人が途中でいなくなってしまうという、「ちょっとメタルのDVDでも観て気合入れようかな♪」的な軽いノリで観ると、100%期待を裏切られるヘビーな内容です。
バンド内の人間関係が手に負えないレベルまで悪化してしまったため、驚くことに「バンドの問題を解決するためのセラピスト」なる専門家まで雇われるのですが、これってすごくないですか!? まるで離婚の危機を迎えた夫婦のように、メンバー全員がひとつの部屋に集まって、険悪な雰囲気の中でお互いの問題点を話し合うんですよ。メタリカがこのセラピストに対してどのような感情を持ち、それがどう変わっていくかがある意味この映画の肝にもなっているわけですが、好きなバンドが解散するという悪夢を経験したことのある音楽ファンなら誰しも、「もしこのセラピストが投入されていたら、ひょっとしてあのバンドは今も活動を続けていたのだろうか…」という考えが頭をよぎると思います(笑)。
そのようなヘビーな内容にもかかわらず、ラストまで観終えた時には、とにかくもう、彼らのことを好きにならずにはいられない! その一人である筆者は、さっそく、メタリカのアルバムを探しはじめています。まずはやはり、この映画で描かれている苦闘の成果である「St. Anger」から手をつけるのがよいのでしょうか。
さて、このブログはトゥイギーについてのブログなので、語りたいあのシーンやこのシーンについては涙をのんですっ飛ばし、トゥイギーに集中したいと思います。
前情報で、メタリカが脱退したベーシストの代わりを探すということだけは知っていたので、さて、いつ探し始めるのだろうかと思いながら観ていたのですが、なかなか探し始めません(笑)。映画が1時間たっても、1時間半たっても、まだ探し始めません。実はレコーディングでは他のスタッフがベースを弾いているため、そもそも探す必要がないんですね。途中でファン感謝デーのイベントがあり、そこで「(この場で)メタリカと共演したいベーシスト募集!」的な企画がおこなわれるので、「ま、まさかファンにまじって手をあげたのか…!?」と緊張したのですが、さすがにそれは違いました。ここでは、一般のファンがそれはそれは楽しそうにメタリカと共演しています。まわりの観客も大盛り上がり。ファンにとっては、至福の時間だったでしょうね。
物語に引き込まれながらも、内心「そろそろ探し始めてくれないかな…」と思い始めたその時、流れが変わりました。彼らが、実質ロックの殿堂入りを意味するという「MTVアイコン」に選ばれたとの知らせを受け、ステージで演奏できるベーシストを大至急探さなければいけなくなったのです。しかも、そのベーシストを正式なメタリカのメンバーにしよう、と。おおー! まだ微妙にバンド内の空気が硬いまま、オーディションが行われます。オーディションといっても、「はい、俺たち審査しますから次の方どうぞ~」的なものではなく、スタジオで一緒に、本番さながらメンバーと演奏するのです。ほんとうに、時間がない中で探したんだということが伝わりますね。
さて、オーディションに参加したメンバーは…
スコット・リーダー(ユニダ/カイアス)に、
出ました、トゥイギー! クレジットは、ジョーディ・ホワイト(別名トゥイギー・ラミレス)です。肩書は「ア・パーフェクト・サークル/マリリン・マンソン」となっています。映像で見てもらうとよく分かるのですが、もう、見るからに緊張しています。他には…
ペッパー・キーナン(COC)。ここまでの写真を見てもらってお分かりのとおり、みんな、こちらまで嬉しくなってしまいそうないい表情をしていますね。他には…
ロバート・トゥルージロ(オジー・オズボーン他)
クリス・ワイズ(ザ・カルト)
エリック・エイヴェリー
あれ、さりげなくナイン・インチ・ネイルズのダニー・ローナーがいるではありませんか! トレントに怒られちゃうよ!(笑)
以上がオーディションに登場した(少なくともこの映画に登場した)7名です。本編ではここに至るまでの過程は描かれていませんが、この7名に選ばれるだけでも、とてつもなくすごいことだということは想像がつきます。メタリカのメンバーも「(みんなの)腕は知ってる。あとはノリだ」とコメントしているとおり、オーディションは相性を確かめるという意味合いが強かったようです。オーディションの合間、メタリカのメンバー同士が一瞬ぎくしゃくしてしまうのですが、スタッフが「とにかく敬意を払って演奏するんだ」とアドバイスしていてぐっときます。オーディションとはいえ、ここにいる7名全員、キャリアを積んだ立派なプロですものね。メタリカのメンバーの言動にも、随所に彼らへの気遣いと優しさがあふれています。亡くなったベーシストのクリフ・バートンについても、冗談を交えつつ愛情のある言葉で語られています。
さて、この中の誰が「四人目のメンバー」になるか…!?ですが、まあ、演奏中のメンバーの表情から、すぐ「あ、この人に決まったな」というのが分かってしまいます(笑)。その雰囲気もふくめ、ぜひ本編を見て楽しんでください。
オーディションで演奏している映像自体は、ひとりあたり数秒程度なのですが(実際は二時間半ぐらいだった模様)、この数秒の映像が、ほんとうに素晴らしくてトゥイギーファンはもちろん、音楽ファンならきっと心をつかまれると思います。なぜかというと、トゥイギーを含めてみんな、憧れの大先輩を前に、完全に少年のような表情になっているんです!
オーディションの合間にはみんな、記念写真まで撮っていました! ちなみにトゥイギーの撮影風景は…
本当に楽しそうですね! 結果はともかく、メンバーいわく(いい意味で一人を除き)「110%の力で頑張った」みんなに、拍手を送りたくなる貴重なシーンでした。
このDVD、嬉しいことに日本版が出ていて比較的入手しやすいです。特典映像がなんと189分あります。メタリカ好きな方はもちろん、メタルの知識がなくても引き込まれてしまう魅力にあふれた作品なので、見つけたらぜひチェックしてみてください。
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DVD情報
「Metallica: Some Kind of Monster」(日本版タイトル「メタリカ:真実の瞬間」)
発売:パラマウント ホーム エンタテインメントジャパン
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