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Jeordie White(a.k.a.Twiggy / Twiggy Ramirez)を知るためのブログ。時空をさかのぼって不定期更新中。May the force be with you!

トゥイギー単独表紙&ロングインタビュー【雑誌】「Guitar World」1998年11月号 (前半)

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 マリリン・マンソンが表紙を飾った雑誌は数あれど、トゥイギーが単独で表紙に登場した回数は意外と少なく、筆者が知る限り二回。いずれも1998年に発売された「Guitar World」(11月号)と「Seconds Magazine」(第48号)です。

 現在世界中どこにも売られている気配がない「Seconds Magazine」と違い、「Guitar World」の方は数こそ少ないながらも海外のネットオークションで出回っているので、ファンとしては手に入れておかねば…と思いつつ、送料を入れると約4,000円となかなかのお値段なので手が出せずにいました。

 が、運よく手頃な価格で入手することに成功。これが、インタビューも写真も期待を上回るクオリティ! しかも、よく見ると綴じ込みでトゥイギーの全身写真ポスターがついています(表がギターの写真だったため、最初気づかず)。さらにギター専門誌とあって、インタビュー記事とは別に『The Dope Show』のバンドスコアまで掲載されているという、ファンには夢のような一冊です。

 ポスター写真はのちほどご覧いただくとして、まずはインタビュー記事をお楽しみください。かなりのボリュームなので、前半と後半に分けて紹介します。

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トゥイギー・スターダスト

マリリン・マンソンの華麗なる転身? トゥイギー・ラミレスが明かす、ハリウッド生活の苦悩と楽しみの全貌

執筆者:Alan Di Perna 写真:Albert Sanchez

 サンセット・ストリップを滑走する一台の黒いリムジン。後部座席でくつろぐトゥイギー・ラミレスは、長袖の黒いシャツに黒のスラックス、赤いネクタイという上品な装いで、『Replicas』のアルバムジャケットに登場するゲイリー・ニューマンのような雰囲気を漂わせている。マリリン・マンソンの右腕として知られるトゥイギー。しかしここにいる彼は、僧侶のような衣装やボンテージ・ファッションに悪魔風メイクといった、ステージやマンソンと一緒の写真でおなじみのあの姿とはだいぶ違って見える。というより、普通の服を着ているせいで、かえってトゥイギー本来の異常さが際立ってしまっている。骸骨のように細い手足と、びっくりハウスの鏡に映ったようにも見える異様に細長い顔。なぜかその顔の効果で、ボリュームたっぷりの黒いドレッドヘアが、ちょっと斜めにかぶった18世紀のカツラのようにおしゃれな印象になっている。リムジンが午後の渋滞の中を縫うように走る間、ウェスト・ハリウッドにあるロックの名所を紹介してくれるトゥイギー。

「“ザ・ウイスキー”が見えた。一度だけあそこで演奏したことがあるよ」。

 マリリン・マンソンのメンバーは、一年ほど前からL.A.で暮らしている。L.A.はなんといってもスターダムの発祥地だ.。ここに引っ越してきたばかりの人たち同様、トゥイギーは今なお、この街に少し魅了されているように見える。リムジンはハードロック・レストランの名店「ザ・レインボー」前に到着。中に入ると、おそろしく大きな胸をした女性店員が、われわれを暗い隅の席に案内してくれる。トゥイギーが注文したのはステーキとフライドポテト、それから前菜のサラダとチーズフライ。ボリュームたっぷりの典型的なアメリカ人の食事だ。おいしそうに平らげるトゥイギーを見下ろすように、80年代のメタル・ロック界を代表するスターたちのサイン入り写真が飾られている。マリリン・マンソン加入後、スウィンギング・ロンドンを象徴するファッション界のアイコンの名前と連続殺人鬼リチャード・ラミレスの姓を組み合わせた“トゥイギー・ラミレス”を名乗るようになった彼。ここにいるスターたちはそれより前、すなわち若き日のジョーディ・ホワイトが憧れていたヒーローである。バンドのベーシスト/ギタリストであり、事実上の音楽ディレクターでもあるトゥイギーだが、メディアでの知名度やパパラッチからの関心度はマンソン本人の次に高い。この状況は、マリリン・マンソンがアルバム『Antichrist Superstar』を発表後、鳩の頭を噛みちぎったオジーに続いて、ロック界における最高に物議をかもす話題の存在になってからというもの、ずっと続いている。

 ニューアルバム『Mechanical Animals』のリリースにより、バンドの人気はさらに高まりそうだ。本作は、マリリン・マンソンを発掘し、自身のレーベルNothing Recordsと契約を結んでこれまで彼らの全作品をプロデュースしてきたトレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズ)の手を離れて制作された初のアルバムである。彼に代わってサウンドガーデンのプロデューサーであるマイケル・ベインホーンが起用され、驚くような仕掛けがたっぷり詰めこまれている。まず、『Antichrist Superstar』の特徴だったあのポスト・インダストリアル的で拷問のようなシャウトや、渦巻くスラッシュギターの音は今回ほぼ使われていない。代わりに、グラムロックやディスコ、80年代初期シンセポップなど軽めのスタイルを取り入れ、キャッチーなメロディ中心のアプローチに挑戦。これらを融合させて、ダークなコンセプト・アルバムに仕上げている。前作で評価されたサタニズムもほとんど登場せず、古き良き時代の“セックス、ドラッグ&ロックンロール”に重きをおいているように見える。アルバムからの初シングルとなる『The Dope Show』では、セクシーで悩ましいビートとワウ・ペダルで歪ませた不穏なギターサウンドにのせて、“We're all stars in the dope show(ぼくたちはドープ・ショウのスターだ)”と歌われる。

 このアルバムの制作はバンドに音楽面だけでなく、メンバー面での変化ももたらした。というのも、ギタリストのZim Zumがアルバムに採用されたいくつかのトラックをレコーディング直後に脱退。今後の『Mechanical Animals』ツアーには、彼に代わって、デイヴィッド・リー・ロスやロブ・ハルフォードのギタリストを務めていたジョン・ロウリーが参加する予定だ。本作でトゥイギーは、これまで通りベースとギター両方を担当、曲作りにも大きく貢献している。

「ヘヴィメタル的な意味合いで言うと、リフは少なくなってるんだ」と、トゥイギーは新作アルバムについて語る。「だから、がっかりする人もいるかも。でも『Antichrist Superstar』に夢中になってくれたたくさんのファンの人たちは、成長して少し年を重ねたと思うんだ。ぼくたちの状況もファンのみんなと同じだよ。正直言って、『Antichrist Superstar』を発表した時も、『Sweet Dreams』みたいな曲とは全然違っていたから、受け入れられるとは思ってなかったんだ。でも彼らは受け入れてくれた」。

 マリリン・マンソンが奇妙で人工的なものを好むバンドであることを考えると、彼らがスモッグに包まれた日光と整形手術であふれる国で成功したのは、当然なのかもしれない。今、マンソンは女優のローズ・マッゴーワンとデートを重ねている。一方トゥイギーは、新しくできた友達のデイヴ・ナヴァロ(ジェーンズ・アディクション/レッド・ホット・チリ・ペッパーズのギタリスト)と定期的に街に繰り出しては、人々を恐怖に陥れている。きらびやかな世界と恐怖とが共存するロサンゼルスで、マリリン・マンソンは家と呼ぶにふさわしい場所を見つけたというわけだ。

――Guitar World(以下略):前作『Antichrist Superstar』に比べると、今回のアルバムは“マンソン”よりも“マリリン”の印象が強いように思います。楽しくて、魅力的ですね。

トゥイギー・ラミレス(以下T):確かにそうだね。ほとんどの曲をシングルにするつもりで作ったんだ。『Antichrist Superstar』の時には、誰もそんなこと考えてなかったよ。あれはとにかく怒りを込めたアルバムだったからね。でも今回のアルバムには、もうちょっと愛らしさがあるんだ。怒りだけじゃなくて、いろんな感情が詰まっているよ。前作は本当に大変だったけど、同じことを何度も繰り返したって意味がないからね。自分たちを再構築する時期だったんだ。そもそも、『Antichrist Superstar』以前のレコードだって、全部違うサウンドだったしね。

――スタイルが変わったきっかけは?

T:ぼくたちがハリウッドに引っ越したことが、多くの曲に反映されてると思うよ。カリフォルニアのレコードを作りたかったんだ。ぼく自身はカリフォルニアに住んだことがなかったけど、「みんなでL.A.に引っ越そう」って話になって。みんなで家を一軒借りて、曲作りを始めたよ。それ以前に作った曲は一曲もないから、どの曲にも間違いなくハリウッドの雰囲気が反映されてる。ハリウッドヒルズに住んでいると、街の明かりのせいで、ロサンゼルスの夜景がまるで宇宙空間のように見えるんだ。世界の頂点に立った気分になるんだけど、ひとりぼっちなんだよ。この孤独感って、スターダムにも関係してると思う。以前のぼくたちは、誰にも知られていなかったから孤独を感じてた。今は、誰もがぼくたちのことを知っているから、孤独を感じるよ。みんなが自分のことを知ってると、誰にも知られていないときより孤独感は強くなるんだ。“人気者”って言葉は、“孤立”の同義語だと思うよ。

――あなたは一人の人間としてではなく、アイドル的な見られ方をしていますね。

T:おかしな話だよね。自分らしくしていると、すぐにあいつはバカだとか最低な奴だとみんなに決めつけられてしまうんだから。自分の幸せって何なのか考えてしまうよ。他の人に受け入れてもらうためには、自分の幸せを犠牲にしなきゃいけないのか?ってね。いったん最低な奴だと判断されてしまった人間が、“あいつはまあまあだ”と思ってもらうには、誰に対してもめちゃくちゃ親切にしなきゃいけないのさ。ハリウッドだからまだ受け入れてもらえるんだけどね。

――新作には、まさに「ドープ」(麻薬的)な曲がたくさん入っていますね。

T:うん。このアルバムを制作中に体験したドラッグは、前作のレコーディングのときよりも楽しかったよ。『Antichrist Superstar』のときはただレコーディングをしてるだけって感じで、すごく苦しかったんだ。みんなドラッグをやっていたけど、必ずしも楽しいってわけじゃなかった。今回の方が断然ポジティブだよ。もっと暗い歌詞の曲もあるけどね。

――『The Dope Show』はいったいどういう曲なのでしょうか。

T:あれこそもっともハリウッド的な曲だよ。ここに住んでると、家でくつろいでたと思ったら、突然、スコット・バイオだとかアイアン・メイデンのメンバーと一緒に過ごすなんてことが起こるんだ。で、気がつくと、コリー・フェルドマンがカラオケをやろうとぼくの家のドアをノックしてる。そういうことを反映した曲さ。子供の頃に自分にとってアイドルだった人たちと一緒に過ごしてクレイジーな体験をしていると、彼らが、名声が過ぎ去った後で名声をどういうふうに捉えているのか分かるよ。

――つまり、「ドープ」というのは馬鹿げたこととか、ドラッグを意味しているのでしょうか? それとも、ヒップホップの人たちが「あれってドープだよね」と言うのに近いのでしょうか。

T:ぼく個人としては、『The Dope Show』はドラッグの曲だと思ってるよ。音楽やエンターテインメント業界は、ドラッグだとかくだらない流行とかで盛り上がってる。今人気がある人は誰?ってね。たくさんの人が近寄ってくるけど、それって有名人とか重要人物と一緒にいると、自分たちの気分が良くなるからなんだと思うよ。ロックスターと知り合いたいとか、ロックスターになりたいと思ってる映画関係者も多くて、驚いたんだ。自分よりも有名な人から、すごい尊敬のまなざしを向けられるなんてね。ジョニー・デップはぼくに、4000~5000ドルもするギターをくれたよ。70年代中期のValenoのギターで、飛行機のアルミ素材でできてるんだ。最高だよ。(編集部注:マイアミのギター製作者ジョン・ヴァレーノが70年代初頭に少量生産したオールアルミ製の楽器。)

――ショーン・ビーヴァン(編集部注:マリリン・マンソンとナイン・インチ・ネイルズのエンジニア兼共同プロデューサー)の話によると、最初は、シーケンサーやPro Toolsを使って家で曲を作り始めたそうですね。その後、ハリウッドにあるコンウェイ・レコーディング・スタジオに移って、より生演奏に近い形でアルバムを完成させたと。

T:そうなんだ。前のアルバムでは、スタジオに入ってレコーディングしたら、デモですごく良かった部分がかなり失われてしまったんだよね。今回は、デモの一部をそのまま使うことができたよ。デモとスタジオでの生演奏を組み合わせてる曲が多いんだ。今まででいちばんライブ感のあるレコードだと思うよ。前回はいろんな部分がカットされて、とくにギターとベースのパートは本当にタイトで完璧な演奏に仕上げられてた。今回は、もっとゆるい感じだよ。ギターもベースも、かなり生演奏に近いんだ。編集されて、機械的な音と混ざってるけどね。機械による演奏と、生演奏のミックスさ。

――メカニカル(機械的)であり、アニマル(動物的)でもあるわけですね。

T:そうだね。今回のレコードは、前作よりも肉体を持ってるんだ。つまり、人間的ってことだね。これって、ぼくたちがより人間らしくなったってことと関係してると思うよ。

――世間は、人間的になったマリリン・マンソンを受け入れられるのでしょうか?

T:実のところ、“マンソン”の面よりも“マリリン”の面の方がちょっと怖いと思うよ。『Antichrist Superstar』では、ぼくたちのキャラクターはジギー・スターダストみたいな感じで、自分たちはビッグなロックスターになると宣言してた。で、それは現実になった。だけど今回のレコードには、本当のぼくたちにもっと近い人格が現れている感じなんだ。“トゥイギー”は本当のぼくを飲みこんでしまったよ。そのおかげで、もっと自分を知ることができたけどね。

――俳優が、自分が演じる役についてよくそんなふうに語りますね。

T:それと同じだね。ニセモノの自分って意味じゃないよ。役を演じることで、より深く自分を知ることができるんだ。

――自分では気づかなかった部分に気づくんですね。

T:そうなんだ。ぼくはすごく幸運だと思う。一つのアイデンティティにとらわれて自分の心に制限をかけてしまう人が多い中、その罠にはまらずにすんだから。これって、誰にでもできるけどね。「あれをやったのは自分じゃない。俺の中にいるもうひとりの奴がやったんだ」ってね。

――今回のアルバムには、パーソナルな印象が強い曲とそうでない曲とがありますね。

T:アルバムの中には、人間的な面だけじゃなくて、架空のグラムロック・バンドの存在もあるんだ。『Antichrist Superstar』にはアンチクライスト・スーパースターひとりしか登場しなかったけど、今回は、言うならば“オメガ&ザ・メカニカル・アニマルズ”ってバンドが出てくるってわけさ。レコードの中に、ぼくたちが進化した別のバンドがいるんだよ。それが、違う印象を受ける理由じゃないかな。すごく人間的な面もあるし…見せかけって意味じゃなくて、ロックスターとかロックンロールの雰囲気もあると思うんだ。

――初めて聴いたときには「この人たちは何者?」と、まるで新しいバンドをチェックしてるような気分になりました。

T:ラッキーなことに、マリリン・マンソンは曲を演奏するバンドというより、アート・プロジェクトに近いんだ。つまり、ぼくたち自身がバンドなんだよ。だから、全然種類の違うサウンドに挑戦することができる。みんながぼくたちに期待するサウンドには、とらわれてないんだ。音楽そのものよりもマリリン・マンソンという存在の方が重要だということが、有利に働いたと思う。そのおかげで、やれることの自由度が広がったんだ。

――70年代のボウイのような雰囲気の曲もありますね。

T:その通りだね。ぼくたちが影響を受けたものがたくさん詰まっているよ。いろんなスタイルの曲があるから、今までで一番バラエティに富んだアルバムなんじゃないかな。誰かの真似をするつもりはなかったけど、ある時代の音楽を取り入れたかったんだ。今のやり方でね。ぼくたちがボウイやピンク・フロイドから恩恵を受けてることが伝わると思うよ。

――80年代初期のゲイリー・ニューマンっぽい曲もあって、すごくいいですね。『New Model No.15』で使われているリフやドラム・マシーンの拍手音なんて、最高です!

T:どうもありがとう。その通り、まさにゲイリー・ニューマンだね。

――バンドのメンバーの音楽の好みは似ているのでしょうか? それとも、別々の音楽から受けた影響を曲作りに生かしているのでしょうか。

T:好みはすごく似てると思うよ。ぼくだけなら100万曲でも作れるけど、マリリン・マンソンに関しては、マリリンとの仕事上の関係や曲づくりの都合によって形が決まってくる。ぼくは、曲が必要としているものに合わせて自分を変えるんだ。ベースやギターに自分らしいスタイルを取り入れることはすごく意識してるけど、ぼくにとっては、それがレコードに反映されることの方が重要だよ。ぼく自身は自分のことをプレイヤーというより、ソングライターだと思ってる。ギターやベースの演奏にはあまり関心がないな。大事なのは曲なんだ。だから曲を作るときは、ギターでもベースでも、80年代初期のサウンドにしたいとか、あるいは90年代中期のサウンドにしたいとか、目的に合わせて違う人間に扮するようにしているよ。

――マリリンと二人で曲作りをするときのスタイルを教えてください。

T:作り方は曲によって違うんだ。一つのアイディアをふくらませながら一緒に作っていくこともあるし、ぼくたちの中で意味が通じるコードをいくつか思いついて、それをもとに組み立てていくこともあるよ。『The Dope Show』なんて、5分ぐらいで書き上げちゃったんだ。だからお気に入りの曲なんだけどね。このアルバムの他の曲、たとえば『The Great Big White World』や『Mechanical Animals』あたりは途中で何度か形が変わったんだけど、『The Dope Show』は最初からほぼ完成バージョンに近い形だったよ。『The Beautiful People』を作った時と同じ感じだね。『I Wanna Disappear』(筆者注:アルバム収録タイトル『I Want To Disappear』)も、あっという間にできた。ぱっと作れた曲は気に入ってるんだ。正直で、ウソがない感じがするから。

――トレント・レズナーが参加していない初のアルバムですが、感想は?

T:トレントから学んだたくさんのことは、今も生かされているよ。世間からは、彼がかなりぼくたちの曲作りに関わったと誤解されているみたいだね。『Antichrist Superstar』制作時、彼はほぼバンドの一員みたいな存在で、サウンド面に関わってくれたんだ。曲作りまで手伝ってもらったと誤解されちゃったから、今回は、ぼくたちがソングライターだって証明しよう、ってやる気になったよ。だからこのアルバムには、リアルな曲が多いんだ。前作にも満足してるけど、今回のレコードにはもっと満足してるよ。

――今回のプロデューサーであるマイケル・ベインホーンからはどんなことを学びましたか?

T:彼はぼくに、ベースはビートの少し前、ギターはビートより少し遅れて演奏するテクニックを教えてくれたんだ。レッド・ツェッペリンみたいな感じだね。今までは音楽を聴いていても、そんなこと気づかなかったよ。そのおかげで、アルバムにライブ感が出たと思う。それに彼は、ぼくに音楽への愛を取り戻させてくれた。その前は音楽が嫌になってて、興味を失いかけてたんだ。

――今回のアルバム制作にビリー・コーガンが参加するという報道がありましたが、実際はどうだったのでしょうか。

T:ビリーは実際に曲を作るというよりも、友情という形で関わってくれたんだ。彼は彼で、同じ時期に自分のレコードに取りかかっていたからね。ビリーの家のプールで何日も変なことをして過ごしたよ。彼がぼくたちの曲を聴いて、ぼくは彼の曲を聴いて。実際に何かしてくれたというより、彼との友情が曲に影響をもたらした部分があると思う。何かを変えろとか、こんな風に演奏しろなんて言われなかったよ。ビリーが与えてくれた影響は、もっとパーソナルなものなんだ。

――ギター演奏について。あなたとZim Zumがどのように役割分担したか教えてください。

T:ぼくの曲に関しては、他の誰にも任せられないね。いざとなったら自分で何もかもやりたいんだ。ぼくが書いた曲は、ぼくが弾くべきだと思ってるよ。Zim Zumは自分の仕事ができないからって、あちこちのリードギターを弾いただけだ。

――何があったんですか?

T:彼は自分の仕事ができなかったんだ。

――音楽的に?

T:まあね。その話はしたくないな。彼は自分の仕事ができなかっただけなんだ。

――彼は円満に脱退したという話ですが。本人もそう語ってますよね。

T:うん、まあ、その方が都合がいいんだろうね。彼は辞めるって言ったけど、このバンドを辞めるなんてかなりバカげてるよ。

――スタジオ・アルバムが完成するごとに、ギタリストが脱退しています。前回はデイジー・バーコウィッツで、今回はZim Zumが…。

T:そうだね。ぼくが彼らを脅して、何もさせないようにしてるのが原因さ。で、彼らが何もしないから、ぼくたちが解放してあげるんだ。

――マリリン・マンソンであなたとギタリストを務めるのは、大変なんですね。

T:うん。だってマリリンとぼくには仕事上の関係があるからね。ぼくが優れてるとか、そういうことじゃないよ。才能っていうのは、技術的にギターがうまいかどうかじゃなくて、音楽のセンスがいいかどうかってことだと思うんだ。最高に素晴らしいギタリストなら、『Guitar World』の後ろに自分のテクニックを紹介する広告を出してるはずさ。その人たちはバンドをやってるわけじゃないし、曲だって作ってないよね。だから能力や技術なんて関係ないんだ。大事なのは、曲なんだ。

後半へ続く

★★目次★★