2007年4月26日から5月3日の約一週間にわたって、オンラインでおこなわれたジョーディとファンとのQ&A。今回は、全4回のうちの第2回です。→第1回はこちら
【開催日:2007年4月28日 出典:basetendencies.com】
————————————————
●あなたの音楽スタイルはどこに向かってると思う?(質問者:Sonia)
フォークだと思う。「彼ら」が電気を消したとき、残るのはアコースティックギターだけだろうな。
●ネイティブアメリカンの音楽や、海外の音楽に影響を受けていますか? 今どんなタイプの音楽を追いかけてる? おすすめがあったら教えて。(質問者:Sonia)
答えはノーだけど、学びたいと思っているよ。The Langley Schools Music Projectをチェックしてみて。とても素晴らしいんだ。
●クリス(・ゴス)との出会いは? 彼が素晴らしいプロデューサーである理由は何だと思いますか?(質問者:Lotsastars)
クリスとはジョシュ(QOTSA)*1を通じて知り合ったんだ。クリスが素晴らしいプロデューサーである理由は、エゴが一切ないことと、音楽への愛だと思う。彼がそばにいると、とてもいい幸運のお守りになるんだ。大きな心を持った素晴らしい人だよ。
●デザート・セッションズはまた再開されますか?(質問者:lotsastars)
もちろんそうなってほしいけど、これはぼくに答えられる質問じゃないね。
●ずっと好きなテレビゲームは何?(質問者:Gpavuk1)
Atari 2600のAdventure。
●ファンからのプレゼントで一番うれしいものは?(質問者:smells-like_children)
お金。
●自由な時間は何をして過ごしてる?(質問者:Holly)
この質問に答えているよ。
●ペットは飼ってる?(質問者:Holly)
猫を二匹飼ってる。ジャックとサディっていうんだ。
●読書は好き? どんな本を読むの?(質問者:Holly)
最近読んだ本でとても気に入ったのは、コーマック・マッカーシーの「ザ・ロード」。
●寝ようとした時ベッドから落ちそうな気がしたのに、目を開けると全然動いていなかったことはある? すごく苦手なんだけど。(質問者:twignig)
ああ、夜驚症だね。気をつけて。
●あなたは長年さまざまなバンドやプロジェクトに参加してきて、どれも素晴らしかった。でも、ひとつのバンドにずっと腰を落ち着けて、そのプロジェクトだけに全エネルギーを傾けたいと思うことはない? それとも、バンドを渡り歩いて違うことをするほうが好きなの?(質問者:Carla)
えーと、ぼくは十年以上もひとつのバンドでやってきた。すぐに「定住」するつもりなんてないよ。できるだけたくさんの人たちと音楽を作るべきだ。クリエイティビティに制限をかける必要なんてないよ。
●これまでのキャリアで、生活のために音楽を演奏するのはやめて、違う職業につきたいと思ったことはある?(質問者:Carla)
音楽を演奏することも作ることも、やめたいと思ったことはないよ。
●APC(A Perfect Circle)は無期限活動停止中ですが、もし機会があったら、あのメンバーとまた演奏したいですか? それともあれは一時的なお楽しみで、あなたにとってはもう終わったことなの?(質問者:Carla)
ええと、時間がゆるせばすぐにでもAPCをやりたいんだけど、今はNINとGoon Moonに100パーセント集中しているよ。
●「The Dope Show」はどのように書かれたの? 曲ができるまでの過程を教えてもらえますか?(質問者:Jonathan Borden)
イギー・ポップの「Nightclubbing」にオアシスとT-REXをかけ合わせて、パクったのさ。
●マリリン・マンソン時代、トレードマークの髪型はどう作っていたんですか? ドレッド? 三つ編み? ヘアスプレー? ジェル?(質問者:Jonathan Borden)
髪を洗うのとブラッシングを完全にやめただけだよ。エルマーズ・グルーも使えるよ!
●生死に関係なく誰かに会えるとしたら、誰に会いたい? その理由は?(質問者:Infection)
ぼくのお父さん。
●モンタナに行ったことはある? 印象は?(質問者:roseandtwiggs)
子どもの頃一度だけ行ったことがあるよ。とても気に入ったよ。
●くだらない質問なんだ(だけどアドバイスが欲しい)。もし友達が自分の悪口を言っていたら、それでも友達でいられる? あなたならどうする?(質問者:roseandtwiggs)
誰もが悪口を言うんだ。ぼくがひとつだけアドバイスできるのは、自分がそういう人間にならないということだよ。もし誰かがきみの悪口を言うなら、それはその人たちの問題であって、きみの問題じゃない。きみはいい人間になって、自分がそうしてもらいたいのと同じようにみんなに接してあげて。きっとその人に悪気はないんだろう。何かに不安を感じてるだけなんだ。
●なくてはならないアルバムは?(質問者:Candis)
Dark side of the Goon Moon。
●メタリカでお気に入りのアルバムとメンバーは?(質問者:Candis)
「Master of Puppets」。メンバーはクリフ・バートン。聞いたことがあるかもね。調べてみて。
●ファンから貰ったもので、今も持っている物はある?(質問者:Candis)
バリー・ギブのランチボックス。
● Wiiをやっていますか? どう思う? 私はWiiスポーツのテニスをやって体を痛めてしまいました。ボウリングはなかなかいいけど。(質問者:twignig)
「ゼルダの伝説」は大好きだ。最高だよ!!!!!
●ナイト・ヴィジョン(暗視能力)とX線ヴィジョン(透視能力)、欲しいのはどっち?(質問者:twignig)
X線ヴィジョンさ、ベイビー!
●Goon Moonについて。共同制作している人たちに、何を伝えたい? このプロジェクトのポイントを教えて。ビデオは、デヴィッド・リンチ的な感じがします。隠された結論があって、面白いけど考えさせられて…。精神分析学的なつながりはある? Goon Moonの全体像を簡単に教えて。(質問者:Agnes)
ワオ、これまでで最高の質問だね。もうほとんど分かっているみたいだね。ミス・モスは全ての答えを持っているよ。
● マリリン・マンソンとまたショーで共演したいと考えたことはある? 二人の関係を教えて。今でも仲の良い友達? それともただの仲間?(質問者:Agnes)
ふさわしい状況になればね。ぼくたちは敵じゃないよ。友達じゃないだけで、友好的だ。
●Goon Moonについて。ミス・モスは本当に面白いですね。誰の声ですか? ミス・モスの曲は誰が作っているの? (質問者:Agnes)
ミス・モスは、きみを含めてあらゆるものを創造したのだ。彼女は、命を与える者であり、奪う者なのである。
●Goon Moonについて。メインで作詞を手がけているのは誰? おもなインスピレーションは? (質問者:Agnes)
クリスとぼくの共同作業だよ。ぼくが書いたり彼が書いたり、一緒に書いたりしているんだ。自分の経験や財産からアイディアを引き出しているよ。
●現在、恋人はいますか? (質問者:Agnes)
はい、います。
●ロサンゼルスのどの地域が好きですか? 自由な時間はどこで過ごすのが好き?(質問者:Agnes)
家にいるのが好きだよ。
● あなたの猫、サディとジャックについて。彼らはGoon Moonのおかげで有名になりつつあるね。彼らの性格や一番好きなところ、インスピレーションを受ける点があれば教えて。(質問者:Agnes)
うちの猫は「Quantum 3」さ。
●ボバ・フェット、ジャンゴ・フェット、IG-88のうち、優れたバウンティ・ハンターは誰?(質問者:Olivia)
ボバ・フェット。
-----
以上、Q&A第2回でした。今回は前回以上に、質問のバリエーションが多いですね! ゲームの話から飼い猫のこと、はたまた友達関係についての悩み相談など、あっちの方向やこっちの方向から飛んでくる質問に、ユーモアを交えながら丁寧に答えています。時々、どこまでが本気でどこからが冗談か分からない回答もありますが、それもまた、ジョーディらしいですね。
この頃は、本人の発言にもある通りGoon Moonとナイン・インチ・ネイルズでの活動がメインで、かつ後年のインタビューから想像するにマリリン・マンソンとも交流が途絶えていた時期です。ファンのみんなが「マリリン・マンソンに戻る可能性はもうないのだろうか…」と心の中でやきもきしている様子が伝わります(笑)。Goon Moonはライブ活動がメインではないですし、ナイン・インチ・ネイルズでのジョーディはどちらかというとサポート的な立場でしたから、「もっとバンドでがっつりライブしているジョーディを見たい!」と思うファンも多かったのかもしれませんね。
バリー・ギブ(ビージーズ)のランチボックスとは、いったい…?と思ったら、画像がありました。たぶんこれです。
他のメンバーのバージョンもあるみたいです。かわいいけど、ちょっとデザインがシュールな気が…。プレゼントした方は、きっと大切に持ってもらえて嬉しいでしょうね。ジョーディといえばランチボックスを思い出す…という人もいるほどジョーディとは縁の深いランチボックスですが、日本人の感覚からすると、お弁当箱というよりお菓子の缶に見えますよね。実際にお弁当箱として使うとしたら、中に入れるものにはちょっと気をつかう必要がありそうです。
Goon Moonのパートナーであるクリス・ゴスは、もう見るからに性格が良さそうです。そばに置いておくには、少々大きすぎる気もしますが…(笑)。
さて、ひとつひとつ見ていくとおそろしい長さになりそうなので、残りは簡単に補足を。猫のジャックとサディは、Goon Moonの「Hardcore Q3」という曲に登場します。歌詞の「Quantum 3, gone to hell」をもじった回答がありますが、Quantum 3はそのまま訳すと「量子3」。筆者は知らないのですが、ゲームかなにかで元ネタがあるのでしょうか…? コーマック・マッカーシーの「ザ・ロード」は、日本でも出版されているようです。あらすじを見ただけで暗い気分になるので、本編もヘビーそうです。「Dark side of the Goon Moon」は、おそらくピンク・フロイドのアルバムタイトル「Dark side of the Moon」をGoon Moonにかけた冗談?
デザート・セッションズは、一時期ジョーディも参加していた、ジョシュ・ホーミのプロジェクトですね。それからエルマーズ・グルーですが、現在も販売されている接着剤みたいです。トゥイギーのあの髪型を作るのは、やはり、そんじょそこらにあるヘアケア製品では無理ということなんでしょうか。
ボバ・フェットはもちろんスター・ウォーズからの質問です。「The Dope Show」の元ネタになったというイギー・ポップの「Nightclubbing」ですが、ジョーディが、同じくこの曲をもとに「Closer」を作ったトレント・レズナーらと演奏している映像があります。とても素晴らしいので、また後日、あらためて記事で取り上げたいと思います。
筆者がいまいちわかっていないのが、「ミス・モス」。だ、誰? Goon Moonの曲に登場するみたいですが、見つけられず…。歌詞を見ながら、もう一度アルバムを聴き直す必要がありそうです。それにしても、最初の質問にある、電気を消す「彼ら」っていうのは、いったい誰のことを言ってるんでしょうね…。意味深です。
また、お父さんに会いたい、というせつない回答ですが、残念ながら後年(2017年)、ジョーディが自分のインスタグラムで「今日、父の火葬の書類にサインしました。ぼくたちが一緒に写っている数少ない写真がこれだと思うと、不思議な気持ちになります」と、子どもの頃の写真を添えて投稿していました。生きている間に再会できていたことを願うばかりですが、きっと心の中で、ずっとお父さんのことを慕い続けていたのでしょうね。
そんなジョーディの優しさが伝わるのが、「悪口を言ってくる友達とどう付き合えばいい?」という質問への回答。これ、ずっと疑問だったんですけど、ジョーディが誰かのことを悪く言っているのを、一度も聞いたことがありません。マリリン・マンソンを最初に脱退した後も、「マンソンとケンカしたのか? 彼はやっぱり嫌なやつなのか?」と探りを入れてくるマスコミをかわし、一貫して「音楽の方向性が違っただけ。誰も悪くない」という態度をとり続けていました。もともとの性格が温厚なのかな…?と思っていたのですが、彼なりのしっかりした考えがあったのですね。
第3回につづきます。
ーーーーーーーーーーーーーーー
★★目次★★
*1:クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(Queens of the Stone Age)のジョシュ・ホーミ。クリス・ゴスはQOTSAのプロデューサーとしても知られる。