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Jeordie White(a.k.a.Twiggy / Twiggy Ramirez)を知るためのブログ。時空をさかのぼって不定期更新中。May the force be with you!

クールで小さなタイムカプセル【ラジオ】「Radio Alternativemusic」前半(1995年10月26日)

www.youtube.com

 2022年現在はストリーミング方式で、その名の通りオルタナティブな音楽を配信し続けているアメリカのラジオ局「Radio Alternativemusic.com」*1

 このラジオ局のYouTube公式チャンネルに、1995年10月におこなわれたトゥイギーとマンソンの秘蔵インタビュー映像がなんと25年の時を経て、2020年に公開されていました。そもそも映像が発掘されたことが驚きですが、公開にあたり、損傷が激しかったというテープをわざわざデジタル・リマスターして修復しています。局の内部にマリリン・マンソンの熱烈なファンがいたとしか思えない丁寧な仕事っぷりです。

 マンソンとトゥイギーが笑い合うサムネイル画像のチョイスから、説明文の「スターになる直前だった彼らの、クールで小さなタイムカプセルをお楽しみください」というメッセージに至るまで、随所に感じられる製作スタッフ(たぶんファン)の愛情に、ファンとしては思わず目頭が熱くなります。

 動画は約10分。一問一答形式になっているので、今回は基本的にインタビュー内容をそのまま訳しました。

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The Lost:未公開マリリン・マンソン&トゥイギー インタビュー(1995年10月26日)

【テロップ:行方不明だった1995年10月のマリリン・マンソン&トゥイギーのインタビュー映像。損傷が激しかったテープに収められていたものです。インタビュアーの音声トラックが使い物にならなかったため、質問文はカード形式にして表示しています】

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ヘッドフォンを押さえつつインタビュースタート

——新作EP『Smells Like Children』について聞かせてください。

マンソン(以下M):ぼくたちがここ2年ほどライブで演奏している曲が何曲かあるんだけど、ファンのみんなから、それをB面集としてリリースしてほしいっていうリクエストをたくさんもらったんだ。それで結局、来年発売予定の『Antichrist Superstar』までの間みんなを手持ちぶさたにしないように、今回のEPを作ることにしたよ。

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開始30秒で髪をいじり始めるトゥイギー

——ユーリズミックスの『Sweet Dreams(Are Made Of This)』のカバーをやろうと思ったきっかけは?

M:昔からこの曲の歌詞が大好きだったんだけど、他の人たちは、ぼくと同じ解釈をしていないのかも…って気がしたんだ。語られている内容がもっと伝わるような形に作り変えてみたかった。この曲って、すごく暗い曲だと思うんだ。誰かを利用する、虐待するっていうテーマの描かれ方も好きだったから、その感じを新しい層のリスナーと共有したかったんだよ。

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片手でヘッドフォンを押さえるDJスタイル

——『Smells Like Children』はコンセプト・アルバムだと書いているレビューがありますが、それは当たっていますか?

M:アルバム全体に通底するテーマみたいなものはあるかもしれない。力を注いだシングル曲『Dope Hat』に始まり、人間に対する利用や虐待を描いた『Sweet Dreams (Are Made Of This)』とか、他の何曲かでね。当時ぼくたちはニューオーリンズに住んでいたんだけど、その4ヶ月間に経験したいろんなことが大きく影響してるんだ。ドラッグとかセックスとか、その手のものに支配されていたよ。あの時期に自分たちが切り抜けてきたものを、音楽で表現したかった。4ヶ月間のちょっとした日記みたいなものだね。カオスっぽく感じるかもしれないけど、今回のツアーに出る前のぼくたちの生活はまさに、カオスだったんだ。もしアルバムがナンセンスに聴こえるとしたら、それってぼく自身、作品があまり意味を持ちすぎないことが大好きだからだと思うよ。

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ちょっとコーラをひとくち

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また髪いじってます

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「あの頃はカオス」という言葉に一瞬ほくそ笑むトゥイギー

——曲と曲の間に、かなりたくさんのサンプリング音が使われています。元の音源は?

M:それは、アルバムを聴いたみんなに解明してもらうことにしよう。ただ、『White Trash』はニューオーリンズにあったぼくたちのアパートで録音した中の1曲なんだけど、トニー・ウィギンズっていう男がボーカルとギターを担当しているんだ。去年のツアー中に出会った変な奴だよ。彼は南部の理想を抱いた南部の紳士で、多くの人から「レッドネック」とか「ホワイトトラッシュ」って呼ばれるタイプの人間なんだ。その彼にあの曲(筆者注:『Cake And Sodomy』)をカバーしてもらったら、皮肉な意味合いが出ると思ったよ。あと、彼のせいで他の人とトラブルになったりもしたね。ぼくたちの組織にいる人たちに危害を加えようとしたりして、問題ばかり起こすんだ。今回EPの発売が遅れたのは、ほぼ彼が原因だよ。彼は危険な人物さ。ぼくたちのいい友達だよ。

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トニー・ウィギンズの話題が出て嬉しくてたまらない様子

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マンソンの「奴は危険人物」発言に笑顔

——プロデューサーはナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーですね。一緒に仕事をした感想は?

M:トレントはおもにカバー曲3曲に関わってくれたんだ。曲が持つ長所を引き出したかったし、歌詞のいい点や意味をいろいろ考えたからこそ、この3曲を選んだよ。『I Put A Spell On You』は昔からお気に入りの曲で、ぼくに影響を与えたたくさんのアーティストもこの曲をカバーしてるんだ。アーサー・ブラウンや、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、それにディアマンダ・ギャラスだよ。『I Put A Spell On You』や『Sweet Dreams (Are Made Of This)』では、『Portrait Of An American Family』で表現しきれなかった感情や、ぼくの人格が持つ別の面を扱っているんだ。愛とか、そういう感情をね。『I Put A Spell On You』はかなり強迫的な要素を持った名曲で、ぼくにとっては元祖サタニック・ロックのひとつだよ。世間からは見過ごされてしまいがちだけどね。そしてパティ・スミスの『Rock 'N' Roll Nigger』は前からぼくたちが好きな曲で、ずっとカバーしたいと思っていたから選んだんだ。『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のサウンドトラック用にやりたかったけど、そっちではオリジナル・バージョンを使うことになったから、自分たちのアルバムにとっておいたよ。『Rock 'N' Roll Nigger』はぼくたちの世代やファンのみんなにとって、ものすごく重要な曲なんだ。個人として生きることがテーマになっているし、相手がどんな人間で何が好きだとか、どんな見かけだとか、そういうのを理由に他人を受け入れない人たちについて歌っているからね。それに、ぼくは「ニガー」っていう言葉のベールをはがすことが重要だと思ってる。もし白人がこの言葉を口にしたら、その人は人種差別主義者だとみなされてしまうけど、それはこの曲が意図してるものじゃないんだ。パンク・ロックが発明された時って、みんなを怒らせることが目的だったんだよね。今じゃ忘れられてるけど、それって、音楽が持つ重要な役割だと思うよ。

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たまにカメラのこちら側を見つめるのが不気味

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カバーした曲への思いを熱く語るマンソンの話に・・・

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コーラ缶の縁を優雅にいじりながら耳を傾けるトゥイギー

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 おそらくみなさんもお気づきだと思いますが…ここまでトゥイギー、安定の一言も話さず! ラジオなのに…(笑)。しかし、ご安心ください。この次はトゥイギー名指しの質問が登場します。

 というわけで、後半へ続く!

★★目次★★

*1:TuneInというアプリを使うと、日本でも聴取可能です。