トゥイギーのファンになると、やはり最初に知りたくなるのがマリリン・マンソンでの活動内容。まず音楽作品で基本をおさえた後、彼が出演したマリリン・マンソンのミュージックビデオを順に追っていたのですが、ある時、大きな壁に突き当たりました。それは、「『The Nobodies』のビデオ(上のYouTube公式動画)でトゥイギーの姿が確認できない」。
筆者が絶大な信頼を寄せるこちらのジョーディ情報サイトには、ディスコグラフィー(ミュージックビデオ)の項目にはっきりと『The Nobodies』のタイトルがあります。しかし動画を何度見ても、どこに彼が出ているのかが分かりません。まあ、映像作品での登場時間が想定以上に短いというのはトゥイギーあるあるなので、単に見落としているだけだろうと思い、再生速度を落としてなるべく瞬きをしないよう気をつけながら繰り返し見直しました。が、やはり見つけることができません。
もしや、マンソンが着ているドレスにもぐりこんでいる中の一人がトゥイギーなのかとコマ送りしてみましたが、ちょっと違うようです。
こうなると、もうウォーリーを探せならぬ、“トゥイギーを探せ!”状態です。一体どこ…? YouTubeのコメント欄に「いるはずのトゥイギーがいない」という書き込みがあったので、別バージョンのビデオが存在する可能性を探り始めてから数ヶ月。ついに問題が解決しました。マリリン・マンソンのベスト盤CD『Lest We Forget : The Best Of』初回限定版の特典DVDに収録されているビデオに、トゥイギーが登場していたのです。
あとから分かったのですが、『The Nobodies』のビデオには「オリジナル・バージョン」「Against All Gods Remixバージョン」など少なくとも3つのバージョンがあり、現在YouTubeで公開されている「Againstバージョン」は、オリジナル・バージョンをマンソン以外のメンバーが入らないように編集し直したものだったのです。おそらくトゥイギーとジョン5が脱退したためと思われますが、他のビデオではそのような処置をとっていないので、真相は謎です。なにかやむを得ない事情があったのかもしれませんね。
とにもかくにも、無事にトゥイギーが見つかりました。さて、いったいどんな姿なのでしょうか? さっそくオリジナル・バージョンを見てみましょう。
--------
何も映っていないテレビの画面とともに、曲が始まりました。はじまってしばらくは、Againstバージョン(YouTube動画)とほぼ同じです。部屋で監視されている子供たちや、マレフィセント風ヘアスタイルのマンソンが映し出されます。
で、異なるのは雪が降りしきる森の中のシーン。曲が始まってちょうど一分のあたりです。Againstバージョンではマンソンだけが映っているのですが…
オリジナル・バージョンでは、画面の下のほうにポゴとジンジャーがいます!
ポゴのモヒカン&日の丸メイクがなかなかのインパクトです。こうやって画面を見比べてみると、Againstバージョンはおそらくオリジナルの画面をトリミングして使っているようですね。しかし、この時点ではまだトゥイギーは登場しません。配置的に、絶対にマンソンの右側にいるっぽいと期待が高まります。
同じ森のシーンが、曲の中盤にふたたび出てきました(1分40秒あたり)。Againstバージョンではマンソンの顔のアップになっているこのシーン。
オリジナル・バージョンでは、先ほどのポゴとジンジャーに続いて、マンソンの右側にぼんやりとですがジョン5の姿が見えました。
マンソン以外のメンバーはみんな、地面に座っているようです。お尻が冷えそうですが、そもそもマンソンは上半身裸なので、きっとこの森は見た目ほど寒くない森なのでしょう。しかし、この時点でもまだトゥイギーは登場せず。じらしますね~! 確実に、もうちょい右側にいるっぽいと期待が高まります。そうこうしているうちに、曲がどんどん終盤に近付いてきました。
↓↓ ここからの画像は、すべてオリジナル・バージョンのものです ↓↓
ヘイ、このままじゃ曲が終わっちゃうよ! アーユーオーケー!? と思ったその時(2分44秒あたり)、カメラが引いて森のシーン全体が画面に映りました。一番右に見えるそのシルエットは…
トゥイギーです!!
ゆったりしたクラシックなドレスと、(トゥイギーにしては)おとなしめのヘアメイク。幻想的な森の中ということもあってか、まるで中世ヨーロッパのお姫様みたいな雰囲気をただよわせてカメラをじっと見つめています。
そのままたて続けにもう2カット、約0.5秒ずつトゥイギーの姿が映し出されるのですが、よーく見てください。
右手が枝になっています。はっきりと見えませんが、左手も同じようになっているかも? トゥイギー(小枝)を枝にするとは、こりゃまた洒落たことを考えたもんだね! と唸りましたが、よく見るとジョン5も、というかそもそもマンソンも枝と化しています。トゥイギーを発見した喜びのあまり舞い上がってしまいましたが、別にトゥイギーどうこうというわけではなく、このシーンは「メンバーみんなで枝になる」というコンセプトだったのかもしれませんね。
ちなみに画像だと伝わりづらいのですが、ここのカット、マンソン以外のメンバーはみんな、静止画風に動きを止めています。分かりやすく言うと、“ダルマさんが転んだ”の状態です。で、もうちょっと演技のクオリティが高ければ、時間が止まった中でマンソンだけが動いているような面白い映像になったと思うのですが、残念ながら全員自分の動きを完全に止めきれておらず(とくにトゥイギー)、微妙にぐらついています(笑)。そのため、「みんな一生懸命動きを止めようとしている」ことが伝わってしまい、笑ってはいけないと思えば思うほど、違う意味での面白さがこみあげる映像になっています。ちなみに、いちばん上手にフリーズしているのはポゴです(笑)。
…と長々と書きましたが、ここの部分、時間にして約5秒。Againstバージョンでは別の音に差し替えられていますが、曲でいうと、「ナ~ナナ~ナナ~」二回分です。で、最初と同じ引きのカットが一瞬入ったのを最後に、トゥイギーは永遠に姿を消してしまいました。トータル時間は5秒ですが、正確に言うと、0.5秒×4カットなので、実質約2秒です。み、短い!
というわけで、トゥイギーの登場シーンは以上です。
-----------
たった2秒、されど2秒。美しい衣装に身を包んで頭に雪を積もらせ、真剣に枝の演技をするトゥイギーの姿が観れただけでまるで海底に沈んだ財宝を発見したような気持ちになるのですから、ファンというのは幸せ者です。たとえYouTubeで観ることはできなくとも、限定版とはいえDVDには収録されているのですから、文句は言えません。いったいなぜトゥイギーを、さらにこの曲の作曲者でもあるジョン5まで消し去ってしまったのか…などと恨みがましいことを言うつもりもありません。
しかし、今この瞬間にも、かつての筆者と同じように、姿の見えないトゥイギーを探してYouTubeの動画を何度も再生しているトゥイギーファンが世界のどこかにいるのではないかと思うと、もどかしくて夜も眠れません。
仕方がないので、枝といえば…ということで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のベビー・グルートに筆者の気持ちを代弁してもらい、この記事を締めくくりたいと思います。
★★目次★★