★SPACEGHOST★

Jeordie White(a.k.a.Twiggy / Twiggy Ramirez)を知るためのブログ。時空をさかのぼって不定期更新中。May the force be with you!

「ハワード・スターン・ショー」その② ウェットな夢、ドライな夢(1997年)

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 続きです。(前回の記事はこちら

 ハワードがゲストの紹介を始めました。「今日のゲストは、ぼくが大好きなマリリン・マンソンとオジー・オズボーンだ。どちらも、ぼくの映画『プライヴェート・パーツ』のサウンドトラックに参加してくれてる。みんなも、オジーの素晴らしい曲を聴きたいよね? タイプ・オー・ネガティヴとコラボしてるんだけど、最高なんだ。マリリンはオリジナル曲を提供してくれたよ。映画の情報がいろいろ出てるから、チェックしてみて。マリリン・マンソンのメンバー、トゥイギー・ラミレスもいるよ。三人はオズフェストのプロモーションにやって来たんだ」。

 オズフェストというのは、1996年にオジー・オズボーンが立ち上げたツアー型の音楽フェスのことですね。マンソンはこの年(1997年)に初めて出演しているのですが、ロビンいわく、「あやうく出演できないところだったのよね。大問題だわ」。おそらく、彼らの出演に対して抗議活動が起きた*1ことを批判しているようです。ハワードが自分も似たような経験をしたと神妙な顔で語っていると、「あ、みんなが来たよ」。スタジオに、オジーたちが入ってきました。

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ウエストポーチ姿でさっそうと登場するオジー

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三人きちんと順番に着席

 「みんな勢揃いだ。パーティみたいだね」と歓迎のあいさつをしながら、マンソンの姿に見入っているハワード。「なんてハンサムなんだ。きみはいつも醜くなりたがっているけど、今日はすごくきれいじゃないか」。まるで口説き文句のような勢いです。「ハンサムだからって嫌わないでね」と、まんざらでもなさそうなマンソン。トゥイギーは会話には加わらず、コートを脱ぎながら横でなにやらごそごそしています。ポケットから何かを取り出して操作しているように見えるのですが、ひょっとして、レコーダーでみんなの会話を録音していたのでしょうか。

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スタッフの視線の先で、何か確認中

 つづいてハワードがマンソンに例の金髪の女の子の感想をたずねると、オジーが横から話に割って入り、「彼女、最高だったよ! おかげでペースメーカーに新しい電池を入れたみたいだ」と、トーク開始1分にして、みんなを自分のペースに引き込んでしまいました。無邪気に語るオジーの姿に、さっそく笑顔になるマンソン&トゥイギー。

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二人とも笑ってます

 あの女の子はポルノ女優だと明かされたオジー、「うん、知らなかったな。大使かと思ってた」と(笑)。いったい何の大使だと思ったのでしょうか!? さらに「きみはマンソンやトゥイギーと違って結婚してるから、彼女のオッパイには触ってないよね?」とたずねられると、ハワードの言葉が本気か冗談か分からず混乱してしまった模様。大マジメに「もちろん触ったよ」と答えたため、ハワードに「奥さんに殺されるよ」とつっこまれてしまいました。しかしオジーはひるむことなく…

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「その価値はあったよ!」

 オジー、最高ですね(笑)。スタジオも爆笑です。完全に「ツカミはOK」状態のオジー。ここで、ようやくマンソンが会話に入ってきます。基本的に今回の番組、要所要所でこのようにオジーが笑いを巻き起こしていきます。そのため、マンソンの発言の印象がどうしても薄くなりがちですが、マンソンはマンソンで、先輩オジーに主役を譲りつつ、面白い発言をいっぱいしています。なので、この先もどうかオジーだけに心を持っていかれることなく、マンソンにも注目しながら楽しんでください(笑)。

 さて、映像に戻ります。オジーが既婚者なのにオッパイに触ったという話の流れから、独自の理論を語り始めるマンソン。いわく、「豊胸したオッパイは、触ってもカウントに入らない」「結婚は国内でのみ有効だから、海外に行けば未婚になれる」。それを聞いたハワードはさらに上をいくジョークをかましてから、オジーに話を振って、結婚して何年になるのかとたずねました。来月で結婚15周年になると答えるオジー。結婚記念日は7月4日、つまりアメリカ国民誰もが知っている独立記念日なのですが、わざわざその日を選んだ理由が、「当時はずっと酔っ払っていたから、覚えられる日付にしなきゃと思って」。超合理的かつロマンチックさのかけらもない理由に、ロビンも思わず大笑い。

 一方、下戸だというハワード。お酒を飲む人間は浮気をしてもお酒のせいにできるからずるいと愚痴りつつ(たしかに)、「ぼくは結婚して19年になるんだ。19年だよ!」とやや自虐的に語ります。マンソンだけが「ぼくらが出会う女の子は大体19才」と反応する中、話に耳を傾けているトゥイギーの表情が一瞬、アップで映し出されるのですが…

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漂うタダモノじゃない感

 まばたきひとつせず、無言でじーっとハワードを見つめてほほえんでいます。まったく何を考えているか分からない謎の表情です。というか、今気がついたのですが、トゥイギー、ここまで一言もしゃべってません(笑)。ある意味すごいですね。オジーが結婚生活の長さについて話を続ける中、カメラがゆっくり後ろに引いていくと…

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ポーズがほぼ猫

 謎の表情に加えて、謎の体勢をとっていることが判明しました。右手を軽く開いてテーブルの縁に置いたまま、微動だにしません。獲物をつかまえようとする猫のようにハワードを見つめて静止している彼の横で、「この一ヵ月で二回夢精した」と新たな話題をぶっこむマンソン。28才という年齢がまだ若いからだとハワードが冷静に返すと、二人の会話を聞いていたオジーが悲しそうに一言。

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「オレなんてもう、乾いた夢も見ないよ」

 マンソンの言う夢精が「wet dreams」すなわち「濡れた夢」であることにかけて即座に「dry dreams(乾いた夢)」を出したオジー、またもやホームランを放ちました(笑)。全員爆笑する中、マンソンも思わずオジーの肩にタッチして…

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オジー、面白すぎ

 体を揺らすほど大笑いしてます。彼がここまで無防備に笑うのは、珍しいですね(笑)。そのまま、話題はオジーと向精神薬との関係にうつります。向精神薬の服用を断つと、現実の世界に恐怖を感じて被害妄想(paranoid)にかられるというオジー。「あの古い歌が戻ってくるってわけさ」と言っているのは、ブラック・サバスの代表曲のひとつ「Paranoid」のことでしょうね。で、薬を飲んでいても勃起はできるという話の流れから、「グランド・キャニオンにソーセージは下ろせないよ」と言ってオジーが再び爆笑をかっさらってるのですが、筆者の英語力ではここのニュアンスがいまいち分かりません(泣)。

 ハワードとロビンが「奥さんがここにいたら大変」と笑っているので、たぶんオジーのアレをソーセージに、奥さんをグランド・キャニオンにたとえた下品なジョークをかましていると思われますが、正確にはどういう意味なのでしょうか。一週間熟考しましたが、答えが出ません。内容が内容だけに、誰かに聞くわけにもいかず、悶々としています。もしこれを読んでいる皆さんのなかで分かる方がいたら、ぜひご一報ください(笑)。とにもかくにもソーセージ・ジョークで再びホームランを打ったオジー、自分の言葉に大受けして、この表情です。

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もしかしていまのジョーク、最高だった?

 このオジーの笑顔だけで、ごはんが何杯でも食べられそうです。みんなの笑いがようやくおさまったところで、オジーの奥さんが彼のマネージャーとしてお金を管理していることから、ハワードが皮肉を込めてマンソンに「きみは女性にお金を取られたことはある?」と聞きます。「まだないよ。売春婦以外はね」とマンソン。続いてハワードが同じ質問をトゥイギーに投げかけたところ、トゥイギーも「ない」とささやくような声で答えながら首を振りました。番組開始から約7分にして、トゥイギーがようやく言葉を発しました! たぶん誰も「いま、トゥイギーが初めて喋った」ことに気づかないまま、「きみたちは現金を隠しておきなよ」というハワードの言葉とともに、番組はいったんCMに入りました。

 トゥイギーが言葉を発して安心したところで、この記事もいったんここで区切りましょう。続きは次回!(→その③へ続く)

★★目次★★

*1:「ニュージャージー公演で、彼らが余りに過激で猥雑なパフォーマンスを披露するという理由で、州政府から演奏禁止命令が出されたが、同ツアーの主催者であるオジー・オズボーンの擁護により寸でのところで出演、プレイできた」(『Mechanical Animals』日本版CDライナーノーツより)