続きです。(前回の記事はこちら)
なぜか同じ角度で体を傾けるマンソン&トゥイギーの姿と共に、ふたたびインタビューが始まりました。
今流れた『Lunchbox』のビデオについて質問され、「『Lunchbox』は中学時代のことを描いた曲なんだ。当時のぼくはガリガリで、まわりに溶け込めずいじめられてたよ」と曲の背景を説明するマンソン。ランチボックスの収集を始めた経緯や、アメリカではいろんなテレビ番組がオリジナルのランチボックスを出していたこと、またこの曲が持つ自伝的な意味合いについても語ります。
いじめられたことへの怒りから「今は仕返しをしているような気持ち」と、淡々とした語り口とはいえ、なかなかヘビーな内容。さすがにトゥイギーも真剣に耳を傾けているのかと思いきや…
またばんそうこうをはがして、手元を凝視しています(笑)。いったい何が気になるんでしょうね!? しかし、こうやって意味不明な行動をとるトゥイギーがいるおかげで、重くなりそうな場の空気がやわらいでいる気が…それどころか、むしろ空気をやわらげるためにわざと意味不明な行動をとっているような気さえしてくるのは、単に筆者がトゥイギーファンだからでしょうか。一応、気が向くと話には耳を傾けている様子です。
マンソンにひとつ質問したら、次にトゥイギーにも話を聞くことを忘れない律儀なアルフレド。彼がばんそうこうの世界から戻ってきた瞬間を逃さず、「作曲はトゥイギーがやっているの? バンドの作曲担当は誰?」と問いかけました。いいですね~。まさに作曲担当のトゥイギーのためにあるような質問です。バンド名の意味はまともに答えなかったトゥイギーも、これならいろいろ話がふくらみそうです。
と思いきや、トゥイギーの答えは…
「えーと…」と戸惑うアルフレドに、さらに追い打ちをかけるトゥイギー。
作曲のパワーの源はニワトリである、と顔色ひとつ変えずに斜め上の回答を繰り出しました。マンソンのモンキー・ジョークには対応できた有能なアルフレドも、このニワトリはどう処理したらよいのか分からなかったようで…
トゥイギーとの会話は続行不能と判断し、マンソンに助けを求めました(笑)。「作詞はぼくだけど、楽曲にはメンバー全員が貢献してくれてるよ」と冷静に答えるマンソン。その後に「トゥイギーが長時間過ごしてる場所があってね。ディズニーランドに動物園みたいなところがあるんだけど、トゥイギーはそこでニワトリと話すのが好きなんだ。彼のお気に入りなんだよ。それがインスピレーションの源なんだね」と、まるでトゥイギーの通訳をするかのように真顔で説明していますが…あのーすみません。何言ってるか、全然分からないんですけど…!
おそらく、マンソンが言ってるのはフロリダのディズニーランドにある「アニマル・キングダム」のこと?
ディズニーランドということで、一瞬、ニワトリの着ぐるみ的な何かがいるのかと思ったのですが、ホームページを調べると、ここにいるのは本物の動物のようです。だとすると、トゥイギーがおしゃべりを楽しんでるのは本物のニワトリである可能性が高そうです。正確に言うと「チキンズ」と表現しているので、ニワトリは複数いるっぽいです。一羽の場合よりも、だいぶ話が盛り上がりそうです。
無事に作曲の秘密が分かり、アルフレドも「OK!」とトゥイギーを指さして楽しそうに笑ったところで、次の質問に移りました。
マンソンが子供時代の個人的な経験を描いた歌詞が世界中の人々の共感を呼んでいる…というアルフレドの賛辞に、「自分が経験してないことは語らないんだ。知ってることだけを語るようにしてる」とマンソン。このあたりの誠実で嘘がない感じは、やはり彼が持つ大きな魅力ですよね。「まわりになじむ必要なんてない。なじめる場所を自分で作ればいい」「“責任ある大人”になる必要はない」といったメッセージが響きます。低音の声がまた、耳に心地いいですね。
興味深く話を聞いたアルフレド、例によって今度はトゥイギーに質問を投げかけました。「ラテンアメリカの観客は、きみたちのライブをまだ観たことがないんだ。あなたはマリリン・マンソンのライブをどう表現する?」と、非常にまじめな内容です。トゥイギーもゆら~と揺れつつ、まじめに質問を聞いています。
が、質問を聞き終えた瞬間…
うつむいて黙り込んでしまいました(笑)。そして無言のまま、ゆっくり顔を上げてアルフレドに向かって「ウンウン」という感じで何度もうなずいています。いったい、何に対するうなずきなのでしょうか!? 「マリリン・マンソンのライブはすごくいいね」という意味のうなずきなのか、それとも、質問を一ミリも理解していないという中身ゼロのうなずきなのか、判然としません。
無言でうなずくトゥイギーに対し、アルフレドが絶妙な間をおいて「なるほど」とコメントしているのが、面白さに拍車をかけています。最高ですね! この流れを一切笑わずにやり抜いたトゥイギーとは対照的に、マンソンとアルフレドは…
実に楽しそうですね(笑)。もはや質問が何だったのか吹き飛びそうですが、そこはトゥイギーの100倍しっかりしているアルフレドとマンソンがフォローしました。ライブは“演劇的”なのかとたずねるアルフレドに、「その表現はどうかな。何が起こってもおかしくないという意味じゃ、ミッキーマウス・クラブみたいなものだね。何が起こるか分からないから、いつでもぼくたちを逮捕できるように警察が待ち構えてるんだ」とマンソン。こんな言葉を聞いたら、ラテンアメリカのファンならずともライブに駆けつけたくなりますね。
さらに「ライブでは怒りが爆発して、物を壊したり燃やしたりしてしまうこともあるよ。トゥイギーは時々、パンティストッキングやウィッグをつけたがるんだ。ぼくには理解不能だけど、彼にとってはそれが怒りを発散させる手段なんだろうね。ぼくが彼の気持ちを語ることはできないけど…」とトゥイギーがいるすぐ横で、マンソンにも理解不能という彼の奇行を紹介します。そこから「”Sick”(病んでいる)という言葉について、どう思う?」と、真剣にトゥイギーに問いかけるアルフレド。これ、質問は素晴らしいんですよ! 質問自体は素晴らしいんですが、聞く相手を完全に間違っています。トゥイギーにこの質問をするのは、「ねえ、きみは恐怖についてどう思う?」とお化けに質問しているようなものでしょう(笑)。
アルフレドの真面目さが最高のフリになっている状態で、トゥイギーは…
無言で、自分の右手を差し出しました。例のばんそうこうをはがして、その下の皮膚をアルフレドたちに見せようとしているようです。ひいーーー!! まさに奇行オブ奇行! しかし全く動じることなく、自然にその手をとって解説を始めるマンソン。もはやスペイン語通訳ならぬ、プロのトゥイギー通訳です。
通訳(マンソン)によると、「ジャック ダニエルの瓶を持ってて、自分で切っちゃったんだ」。優しいアルフレドが、ちゃんとトゥイギーの傷を確認してあげているのがジワジワきます。しかし、ここでもトゥイギーの行動に動じることなくしっかり質問を引き取るマンソン、「すべてはその人の認識次第なんだ。マリリン・マンソンを見て”病んでる”と感じたなら、それってその人の頭の中にあるものなんだよ」と頭の回転の速さを見せつけます。
さすがの回答に感心していたら、横からトゥイギーが何やら口を挟んできました。彼が会話に割り込んでくるなんて、これはこれで珍事です。いったい何を言っているかと思ったら…
たぶん、手をケガした時の状況を正確に説明しようとしているのですが、ますます意味が分かりません。マンソンもよく分からないようで通訳せず。さらにアルフレッドが再び絶妙な間を置いてから「なるほど、そういうことだったんだね」と、優しく無視しました(笑)。どんなに答えをはぐらかされても、これまで決してトゥイギーとの会話をあきらめなかったアルフレド。ここにきて、若干トゥイギーの扱い方が掴めてきたようです。
いったんCMと『Get Your Gunn』のビデオを流すよ!…とのことなので、この記事もここで区切りますね。次回は最終回!
★★目次★★